4日、ブラジル全土が注目する中、最高裁が、ルーラ元大統領に対して2審有罪後の逮捕回避を目的とした人身保護令(HC)を適用するか否かの審理をはじめた。数日前から世論を2分するほど高い関心を持たれた審理は午後2時30分にはじまり、白熱した議論が交わされた。4日付現地紙およびサイトが報じている。
「2審で有罪後に刑執行」というのは、最高裁が16年10月に下した判決であり、政治家などホワイトカラーの人も含めた裁判の刑執行の際の一つの基準としても機能していた。
だが、その最高裁の判事たちがその判断をもう一度見直すことを求めている。それが、ルーラ元大統領が収賄と資金洗浄で12年1カ月の判決を受けた2審判決の時期と重なったことで、現在、最高裁は国民から厳しい目で見られている。
連邦検察庁のラケル・ドッジ長官は3日、「4度も裁判を行わないと刑の執行が決まらないのは法体系が破綻しているということだ」と発言し、刑執行の時期についての判断を変えかねない最高裁を間接的に批判した。
さらにエドゥアルド・ヴィラス・ボアス陸軍司令官も、審理前日の3日に「刑の見逃しがあるとしたら、それは許されないことだ」と発言。これが「ルーラ氏がHC取得なら軍介入か」と解釈する人も現れ、国内が騒然とする瞬間も起きた。
だが、こうした世の空気に逆らうように、ジウマール・メンデス判事は3日、「大統領選の世論調査で1位になるような人物を逮捕し、実刑に処すようなことがあれば、それはブラジルのイメージに傷をつける」と語り、物議を醸した。
最高裁での審理は午後2時30分にはじまり、同裁でラヴァ・ジャット作戦の報告官をつとめるエジソン・ファキン判事が、これまで通りにルーラ氏にHCを認めないことを推薦した。
だが、続くジウマール・メンデス判事は「これが殺人や麻薬取引であれば第2審で有罪となった時点で刑執行でいいと思う」としながらも、「そうでなければ高等裁(第3審)後の刑執行が妥当だ」として、ルーラ氏へのHCを認め、票は1対1となった。
メンデス判事は16年10月当時、「2審後の刑執行」に賛成したが、その後反対に回っており、他の判事の票が変わらなければ、ルーラ氏にHCが与えられる可能性が強まる。注目はローザ・ウェベル判事の見解だと見られている。
メンデス判事が1時間にわたる長い説明を行ったこともあり、最高裁はこの時点で30分間の休憩に入り、その後、3人目以降の判事の投票を再開した。