最高裁が4日にルーラ元大統領への人身保護令を審理するのを受け、3日は全国で「2審後の刑執行判決の維持」を求める集会が開かれた▼同判決は16年10月に出、刑執行の基準となった。だが、いざ元大統領が2審で有罪となり、上告審後に刑執行と言い渡されてみると、見直し圧力が高まった。ルーラ氏の存在の大きさを改めて感じさせるが、本来、「万人は法の下で平等」のはずだ▼カルメン・ルシア最高裁長官は「今見直せば最高裁が小さくなる」とし、再審理に抵抗していた。4日の審理はルーラ氏への人身保護令適用のみを扱うが、同氏に人身保護令を適用すれば、同様の立場にいる既決囚も同じ要求を出すのは自明の理だ▼そう考えると、4日の裁判は今後の捜査や裁判の行方を左右する大切なものだ。3日には、ラケル・ドッジ検察庁長官も2審後の刑執行を擁護する発言を行い、全国的なデモも起きた。人身保護令申請者は多いのに、元大統領の要請が他者に先駆けて審理された事も疑問だ。また、デモ会場に「最高裁よ、最高たれ。小さくなるな」とのプラカードがあるのを見て、「同感!」と思った▼最高裁は09年に2審後の被告に人身保護令を与えたが、16年2月にそれを再考、2審後の刑執行を認めた。10月の審理ではこれを再確認したが、僅か1年半で覆りかねなくなった。刑執行後も上告出来るのに、最高裁が論議を尽くして出した判決が覆るなら重大事だ。選挙出馬に固執する元大統領と労働者党。ブラジル南部でのキャラバン中に襲われたバスは近距離から撃たれたとの鑑識結果も出た事で、茶番劇の可能性も疑われるようになった。国民を惑わすような人に政権を託せば、ホワイトカラーの犯罪撲滅はまた遠のく。(み)