ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》最高裁=ルーラの人身保護令適用認めず=今月中に逮捕か、出馬も危機=判事投票は接戦の6対5=ローザ判事の見解変更で

《ブラジル》最高裁=ルーラの人身保護令適用認めず=今月中に逮捕か、出馬も危機=判事投票は接戦の6対5=ローザ判事の見解変更で

4日の最高裁でのローザ判事(Felipe Sampaio/STF)

4日の最高裁でのローザ判事(Felipe Sampaio/STF)

 4日に最高裁で行われた、2審で有罪判決を受けたルーラ元大統領に対して人身保護令(HC)を適用するか否かの審理は11時間にも及び、判事投票6対5という接戦の末、適用されないことが決まった。これでルーラ氏逮捕の可能性が高まり、大統領選出馬も危機に立たされた。5日付現地紙が報じている。

 4日の最高裁での審理は、ラヴァ・ジャット作戦担当報告官でもあるエジソン・ファキン判事が、従来の主張通り、HCを適用しないことを薦める形ではじまった。
 それに対し、まず、16年10月の最高裁審理では「2審有罪後に刑執行」を支持しながら、それを翻したジウマール・メンデス判事がHC適用賛成を支持した。
 30分間の休憩後、アレッシャンドレ・デ・モラエス、ルイス・アルベルト・バローゾ両判事はかなり強い口調でHC適用に反対した。モラエス氏は「憲法制定後、2審有罪後も刑執行にならなかったケースは9%しかない」と主張。バローゾ判事は「16年10月の審理結果を見直すというが、それは何のため、誰のためにやるのか。それで良くなるのか」と最高裁内部での法令見直しの動きを批判した。
 ここで、かねてから票の動向を注目されていたローザ・ウェベル判事の見解表明となった。同判事は16年10月の審理で「全ての控訴が終わるまで刑執行はなし」と主張していた。しかし、その後のHC適用に関する審理では、16年10月の全体決議の結果を尊重し、大半でHC適用を拒否してきたからだ。
 ローザ判事の説明は最後の結論に至るまでどちらに転ぶかわからないものではあったが、HC適用反対に票を投じた。
 その後、選挙高等裁判所長官でもあるルイス・フクス判事も反対に投じたため、この時点で反対5、賛成1となった。
 そこからは、「2審後の刑執行反対派」で知られるジアス・トフォリ、リカルド・レヴァンドウスキー、マルコ・アウレリオ・メロ、セウソ・デ・メロの4判事がこぞってHC適用に賛成して、票は5対5となった。
 最終的な結論はカルメン・ルシア長官に託されたが、かねてから16年10月の「2審有罪後に刑執行」の判例を変えることに強く反対していた同長官はHC適用を拒否。これにより、ルーラ氏が逮捕を逃れるためにHCを取得することは不可能となった。
 これにより、ルーラ氏の逮捕と刑執行は今月中にも起こりうる状況となったが、当面は、2審の判決を出した連邦第4地域裁への控訴が結審となるまでは、刑の執行はないと見られている。第4地域裁への控訴が棄却された場合は、高等裁、最高裁への控訴も可能だが、判決が覆る可能性は高くない。控訴は獄中からも行うことができる。