政治家未経験ながら、民主社会党(PSDB)から16年のサンパウロ市長選に立候補。一回目の投票で、過半数を得票して当選したジョアン・ドリア、サンパウロ市長(60)は、今年10月のサンパウロ州知事選に出馬するため、就任から15カ月余りとなる6日付で退任する。そんなドリア市政の総括を、5日付現地紙が行った。
ドリア市長は、昨年1月の就任早々、意欲的に市政に取り組んだ。自ら清掃員の制服を着て清掃活動を行ったり、医療機関にできる大行列を解消しようと、検査に特化した夜間診療を始めたり。今年のカーニバルでは、主要道路を封鎖して市街地のパレードを充実させるなど、評価できる点も多い。
しかし、就任早々、好評の政策と高い支持率に気を良くしすぎたのか、大統領選への出馬にも色気を見せたため、PSDBの重鎮たちとの間にも隙間風が吹き、大統領選出馬を断念。相次いだ外遊や実現しない公約などもあり、支持率にも若干かげりが見え始めた。
市営施設を民営化または売却し、民間投資で施設を改修、少ない公費で経済活性化と市民への良質な設備の提供を図る計画も、まだ動き始めたばかりだ。インテルラゴス・サーキットやアニェンビー複合施設の売却、市営墓地の民営化も遅れている。
「就任後1年以内に、託児所入所待ち児童をゼロにする」の公約も果たされておらず、「今年3月までに6万5千人分の入所枠を作る」と下方修正したが、実際に増えた枠は2万7500人分で、半分にも満たない。
一方、ドリア市政は会社の登記手続きを簡素化し、平均126日かかっていた登記に要する日数を、最短5日と大幅に短縮した。各種の手続きも75%オンライン化し、必要な書類を減らした。事務のオンライン化は9月までに終える予定だ。
最も緊張感が高まったのは、サンパウロ州のジェラウド・アウキミン知事(PSDB)主導の下で、市内の麻薬汚染地帯クラコランジアの一掃作戦が行われた、昨年5月だ。
麻薬組織の幹部逮捕にも成功したが、市としての対薬物犯罪計画も慌てて行わなければならず、中毒者がクラコランジアから市内各所に拡散する結果を招いた。
今後、市政の舵取りは、ブルーノ・コーヴァス副市長(37歳・PSDB)に引き継がれるが、ドリア市長がサンパウロ州知事選に出馬することにより、マルシオ・フランサ現副知事(ブラジル社会党・PSB)と対立関係になる。このため、ドリア市長には協力的だった市議会のPSB勢力が、後任のコーヴァス新市長にも協力するかは不透明だ。
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