ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》ルーラ、遂に連警へ出頭=妻の追悼ミサの後に逮捕=演説では最高裁や検察批判=暴徒化した熱狂支持者も

《ブラジル》ルーラ、遂に連警へ出頭=妻の追悼ミサの後に逮捕=演説では最高裁や検察批判=暴徒化した熱狂支持者も

7日のミサでのルーラ氏(Paulo Pinto)

7日のミサでのルーラ氏(Paulo Pinto)

 7日、ルーラ元大統領がパラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事の逮捕命令に応じ、パラナ州連邦警察に出頭して逮捕された。この日の逮捕は亡きマリーザ夫人のミサを行い、演説を行った後での逮捕という大掛かりなもので、さらに支援者の暴力が目立つなどの側面もあった。7、8日付現地紙が報じている。

 モロ判事が5日に命じた逮捕出頭命令の期限は6日午後5時だったが、ルーラ氏はサンパウロ大都市圏サンベルナルド・ド・カンポの金属労組の本部に立てこもり、その日は逮捕に応じなかった。
 だが、「7日にマリーザ夫人のミサを行った後に逮捕に応じる」ということで交渉がまとまり、ルーラ氏が出頭することになった。亡くなった人のミサは通常、命日に行われるが、この日のミサはマリーザ氏の誕生日にちなんで行われた。
 ルーラ氏はミサの終わりに演説を行い、そこで「最高裁はマスコミの圧力に押されて誤った判断を行った」「検察の捜査がマリーザの死を早めてしまった」とマスコミ、最高裁、検察を次々と批判した。さらに「(1審で有罪を下した)モロ判事や(2審で有罪を下した)第4連邦地域裁は私を大統領選に出したくなかった。だが私はより大きくなり、無実を証明して戻ってくる」と、なおも大統領選への出馬に強い意欲を燃やした。
 この後、ルーラ氏は午後5時に車で金属労組を出ようとしたが、一部の狂信的な支持者が駐車場の門を閉ざし、同氏の乗る車が外に出ることさえ許さなかったため、一旦は金属労組の建物内部に引き返した。
 この日はルーラ氏の支援者の一部が暴徒化し、少なくとも6人のジャーナリストが暴行を受ける事件も起きた。
 それから約1時間後、グレイシー・ホフマン労働者党党首の呼びかけで支持者らが作ったスペースを伝い、ルーラ氏と弁護士2人は徒歩で連警の車に乗り込んだ。報道陣のヘリコプターが上空から空撮を行う中、ルーラ氏は車でサンパウロ市の連警に向かい、身体検査などを受けた後、ヘリでコンゴーニャス空港へ移動した。その後は連警のセスナ機でパラナ州クリチーバまで飛び、ヘリに乗り継いで、午後10時29分にパラナ州の連邦警察に着いた。
 ルーラ氏は同連邦警察の4階にある15平米ある特別室で、サンパウロ州グアルジャーの高級三層住宅を介した収賄と資金洗浄の容疑での12年1カ月の服役を開始した。
 同連警の2階には、かつてルーラ氏の政権で財相を務めたアントニオ・パロッシ氏などが収監されているが、ルーラ氏は他の収監者との接触を禁じられている。
 ルーラ氏の逮捕は金属労組のリーダーだった1980年4月にデモを先導して軍事政権に逮捕されて以来、38年ぶりだ。ブラジルの大統領経験者が一般犯罪で逮捕されるのは今回が初めてのこととなる。