サッカーのW杯が開催される年、ブラジルでは開催数カ月前から、国際サッカー連盟(FIFA)が発行している公式の「選手シール・アルバム」に多くの人々が夢中となり、その輪は小さな子どもから大人にまで広がっている。
このアルバムは1970年から既に存在しており、それ以降11回のW杯が開催され、今年のロシアW杯で12回目だ。ブラジルではW杯前の時期になると、ショッピングセンター内の書店やキオスクにシールの台紙となるアルバムや、それに貼るシールを求める人が殺到する。
このアルバムには最初は何も貼られていない。アルバムの中には、参加32チームそれぞれ選手18人分の空欄や、チームの集合写真などの空欄がある。その他開催スタジアムなど、空欄は全部合わせて681カ所存在する。
空欄を埋めていくのはアルバムの購入者自身だ。アルバムを販売する店は同時に、1枚0・40レアル(日本円にして12円)でシールも売っている。キオスクなどでは、シールがランダムに5枚分入ったものを1袋で売っているが、それを40袋まとめて売る店もある。
アルバム購入者は、その空欄を地道に埋めていくのだが、681枚全てを埋めようとすると最低でも272・40レアル(約8400円)かかる。もちろん、お目当てのシールがすぐに見つかるとは限らず、すでに持っているシールと重複することもあるので、実際にはもっと費用がかかる。
空欄全ての制覇、いわゆる「コンプリート」を達成するのはお金もかかり、大変だ。このアルバムは小学校入学前の子どもたちの間で特に流行るが、親によほど頼み込まない限り、彼らが独力でコンプリートするのは難しい。
しかし、友人と重複したシールを交換することが思い出として残るからなのか、シール集めを大人になってもやめられず、長年にわたりW杯アルバムを購入し続けているコレクターが存在する。
30歳のレアンドロ・マシャドさんは、6歳だった94年アメリカ大会から全ての写真を集め、コレクターの輪も広めているという。
コレクター同士は協力してお互いに余らせているシールを交換し合うことで友情を深めている。そのグループは、実際にどこかで場所を借りて集まる人もいれば、フェイスブックやワッツアップなど、ソーシャル・ネットワーク上のものまで様々だという。
「サッカーの国」として知られるブラジルだが、サッカー・ファンとしての好奇心も、このようにして高められている。(8日付アゴラ紙より)