6日に下院議員の政党移籍期間が締め切られ、80人以上の下院議員が所属政党を移籍した。その結果、民主党(DEM)をはじめとする中道右派政党や、極右大統領候補のジャイール・ボルソナロ氏の社会自由党(PSL)などが議席を増やし、テメル大統領の民主運動(MDB)といった大型党が議席を減らした。9日付現地紙が報じている。
下院議員の政党移籍は10月の大統領選をはじめとした統一選挙に大きな意味を持つ。それは、この時期に確定した下院議員の数に比例して、各政党の政見放送の持ち時間が決まるからだ。
今回の政党移籍期間中に最も議席を増やしたのは、DEMの9人だ。DEMは大統領選にも出馬するロドリゴ・マイア下院議長の政党として知られている。同議長のかねてからの議員獲得努力などもあって、14年の選挙終了時は21人だった同党の議席は、倍増の42人となった。
また、共和党(PR)の下議が4人増えて41人に、同じく進歩党(PP)も3人増えて48人になった他、社会民主党(PSD)が2人減ったものの39人の下議数を誇るなど、連立与党政権下の中道右派政党の勢いが増していることを示す結果となっている。
一方、「三大政党」と長らく呼ばれている政党の中で、下議数1位の労働者党(PT)は、今回の移籍期間では動きが無かったものの、14年選挙時からは11人減って57人、2位のMDBは今回の移籍期間で7人減り51人、3位の民主社会党(PSDB)は2人増えたが、48人でPPに並ばれた。
また、これまで零細政党だったPSLが、人気大統領候補のボルソナロ氏の移籍で7人増やし、10人となった。また、同じく「世直し」を掲げる大統領候補アルヴァロ・ジアス氏の政党ポデモスも、14年選挙時の4人から18人へと一気に議席を増やした。
また逆に、ブラジル社会党(PSB)は、党内が中道右派と左派に分かれて内紛を起こした影響もあり、14年選挙時の34人から24人へ議席を減らした。
左翼勢は、支持率の高い大統領候補シロ・ゴメス氏の民主労働党(PDT・21人)、ブラジル共産党(PCdoB、11人)、社会主義自由党(PSOL、6人)と現状でほとんど変化がなかったが、10、14年大統領選3位だったマリーナ・シウヴァ氏のREDEは議席を2人減らしわずか2人となった。最悪の場合、マリーナ氏はテレビでの大統領候補の討論会に出演できない可能性が生じている。