ブラジルの食肉加工会社大手のマルフリギ社が9日、米国ナショナル・ビーフの株式の51%を9億6900万ドル(約33億レアル)で買収すると発表したと、10日付現地各紙が報じた。
2012年に行われたブラジル子会社Seara社のJBSへの売却や、15年の欧州Moy Pork社のJBSへの売却など、近年は資産売却が目立っていたマルフリギ社による反転の買収オペレーションだ。
ナショナル・ビーフ社は約8年前にも、ブラジル最大手のJBS社と買収交渉を行っていたが、JBSが国内でシェアを拡大することを嫌う米国当局から疑いが挟まれ、交渉は不成立に終わった。
買収契約が正式に成立すれば、マルフリギ社が1日に処理できる食肉牛の数は35%増の3万5千頭になる。これにより同社は、同じブラジルのJBSに次ぐ、牛肉加工部門では世界2位の会社となる。
金融市場も、この買収を評価し、マルフリギ社株は9日の1日だけで18・8%上昇した。
マルフリギ社社長のマルチン・セッコ氏は、「牛肉ビジネスに焦点をあてて決定した」と語り、同社経営審議会の承認も得ている事を強調した。
買収が正式のものとなるには、マルフリギ社株の33・7%を保有し、第2筆頭株主である社会開発銀行(BNDES)の承認が必要だ。BNDESはこれまでに、マルフリギ社による買収を何度も認めただけでなく、総額40億レアルに及ぶ融資も行ってきたが、今回は融資を行わない。そのため、マルフリギ社はオランダのラボバンクからの資金提供を受ける。
この買収により、マルフリギ社の年間売り上げは430億レアルとなる。