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リオ版「ウィ・アー・ザ・ワールド」誕生へ=音楽アーティストたちが崩壊するリオのため立ち上がる

 アメリカを代表する音楽アーティストたちが大挙し、アフリカの飢餓救済のためのチャリティ・ソング「ウィ・アー・ザ・ワールド」を発表したのは1985年。
 それから33年。ブラジルを代表する音楽アーティストたちがリオに集まり、犯罪や暴力抗争の悪化で統治困難な状況に陥っているリオの窮状を救おうと、キャンペーン・ソング「リオ、デジスチール・ジャマイス(リオ、決して諦めない)」を録音し、話題となっている。
 集まったのは、現在、世界進出中の若き歌姫アニッタはじめ、北東部の伝統音楽「フォフォー」の女王として知られるエルバ・ラマーリョ、リオが生んだ名バンド「ブリッツ」のメンバーで、俳優としても有名なエヴァンドロ・メスキータに同バンド出身でソロでも同様に成功した女性歌手フェルナンダ・アブレウ。90年代からの人気バンド、チタンスとカピタル・イニシアルからはそれぞれ、ヴォーカルのトニー・ベロットとジーニョ・オウロ・プレット。90年代からR&B色の強いロックで人気のバンド、ジョッタ・クエストのロジェリオ・フラウシーノ、2000年代のブラジルで最大の人気を誇ったバンド、NXゼロのヴォーカルのディ・フェレロらが集まった。
 「リオ、決して諦めない」の元曲は、1950年代に発表された「ヴァウサ・デ・ウマ・シダーデ」という曲だ。この曲は過去にもカエターノ・ヴェローゾなどにカバーされた有名な曲で、「リオよ、君を愛してる。この空やこの海、この幸福な人々を愛す人なら、誰でも私は愛す」という歌詞があることで知られている。
 今回、アーティストたちを招集したのは、リオの名物ロック・イベント「ロック・イン・リオ」の主催者ロベルト・メジーナ氏だ
 同氏は昨年からリオの観光プロジェクトを任され、積極的なイベント開催も行っているが、その矢先の今年2月、リオ州政府が統治不能に陥る、現在、州の治安は軍が中心になって守る状態にまで陥った。
 「リオから観光がなくなったらこの街は終わりだ。もう友人たちがリオを見限って去って行くのを見るのはこりごりなんだ」「去年、ロッシーニャ地区のファヴェーラで厳戒態勢が敷かれたとき、私たちはロック・イン・リオを開催したが、数10万人の観客はあのとき幸せな時間を過ごせたじゃないか。リオだって、ロッシーニャだってやろうと思えばできるんだ」とメジーナ氏は熱い思いを語る。
 リオ出身のアニッタも、「ブラジルは今、とてもデリケートで重大な時期を生きている。リオはなおさらよ。でもタオルを投げる(諦める)わけにはいかないの。希望こそがカギになるのよ」と前向きな精神の重要さを問いかけている。
 この曲の録音風景は今月末にも一般に公表される予定だ。(10日付エスタード紙サイトなどより)