今月10日、大統領府で行われた新閣僚就任式で、リオ州出身の日系人、ヨムラ・エウトン氏(35)が新労働大臣に就任した。日系大臣としては、安田ファビオ良治商工大臣、植木茂彬鉱山動力大臣、続木正剛保健衛生大臣に次ぐ4人目。続木大臣以来、実に28年ぶり。これは10月に実施される統一選挙に出馬するため、閣僚が4月7日を期限として離職したことに伴う内閣改造で、閣僚10人が新たに就任した。
同氏はヴェイガ・デ・アウメイダ大学法律学部卒後、フルミネンセ連邦大学院行政法学部卒。05年からリオ市検事総長行政法補佐官、リオ市交通局補佐官等を歴任。16年に労働省リオ州地区長官、17年10月に労働省重役秘書を経て、18年1月から労働省大臣代行となっていた。
同日、大臣代行から大臣に正式に就任したヨウラ氏はさっそく記者に囲まれ、「本年は経済成長によって雇用創出は非常に明るい見通し。雇用者と被雇用者の距離を縮めるだけでなく、新たなパートナーシップを発展させ、雇用創出のため労働法の障害を簡素化するなど省として可能な限りのことを実施してゆく」と今年の見通しを語った。
昨年11月には、ホナウド・ノゲイラ前大臣のもと、74年振りに改正された新労働法が施行開始となった。ヨムラ氏は「労働法近代化の目的は、旧法という雇用創出の足枷を外すことだった」とその意義を強調した。
同氏によれば、経済成長が実現されれば、新たに250万人の雇用創出が実現されると予測。「全就労失業者台帳が18年度の全ての月において、よい結果になることを確信している」とし、「我々は楽観視している。大きな挑戦を抱えている。これは困難だが不可能ではない」と語った。
就任式で新閣僚を任命したミシェル・テメル大統領は、「内閣改造で閣僚10人という重大な変更がなされたが、政権運営の質には何ら影響はない」と強調し、新内閣のもとで実行されつつある改革前進に前向きな姿勢を示した。
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実は「何人目の日系大臣」という部分は、議論が分かれる部分でもある。というのも、ポ語で大臣は「ministro」だが、日本語の「大臣」よりも意味が広い。日本語では各省のトップが大臣だが、ポルトガル語では省の一部門の長や、省より格下の庁のトップにも使う。その場合、日本語では「長官」と訳されることが多い。たとえば、大統領府広報局長官を務めた具志堅ルイス氏もそうだ。彼もミスニトロだが、大統領府のトップではなかった。悩ましいのは斉藤準一空軍総司令官のケースだ。やはりミニストロだが、3軍の長はあくまで国防大臣だからだ。若くして「4人目の日系大臣」になったヨムラ氏は、まだ35歳。将来が楽しみな日系人といえそうだ。