経済コンサルタント会社テンデンシアス社が発表したデータによると、現在のブラジルでは、光熱費、ガソリン、食費、住居費、医療費、教育費など、生活を営む上で節約の難しい「必需消費」を所得全体から引いて残る、余剰品に使える金額の比率「選択的消費比率」が、2015年1月の45・6%から43・76%へ下がったと15日付エスタード紙が報じた。余剰品には、衣類(半耐久消費財)や旅行(サービス)などが含まれる。
現在のブラジル人の所得総額は15年1月より増えているが、その増加ペースを必需消費の増加ペースが上回ったために今回のような結果になった。選択的消費比率43・76%は、2009年以来、最低値だ。
消費全体に占める比率が一番高まったのはガソリン(必需消費)で、4・86%から5・6%へ上昇した。15年1月の全国平均のガソリン価格は1リットル3・032レアルだったが、現在は4・219レアルだ。電気代(必需消費)も同様に、消費全体に占める比率が2・94%から3・44%へと上昇した。T社は、年末には3・89%まで上昇するとしている。
テンデンシアス社は、食料品価格(必需消費)の上昇率が低く、品目によってはデフレにさえなっている事が家計への圧力を幾分和らげているとしている。
15年1月からの3年間で、「必需消費」に含まれる項目の中で家計に占める比率が下がったのは、16・15%から15・8%へと下がった食料品と、4・2%から3・64%へ下がった通信費だけだ。
テンデンシアス社経済分析員のイザベラ・タヴァレス氏は、ブラジル人労働者の所得総額が昨年から再び上昇し始めたことも、必需消費増大による家計への圧力を和らげるのに寄与していると指摘している。
しかし、「1人あたりの賃金は回復しておらず、失業で無収入だった人が少しでも収入を得始めたことで、所得総額が上がったに過ぎない」ことや、「雇用形態は非正規が多くなっている」や「増えた分の所得は主に負債解消に回り、消費活性化に繋がっていない」などの問題もある。
ブラジル人が「余剰品」にかける支出を抑えていることで、今年2月の小売の売上は、前月比0・2%減少した。これは2月としては3年ぶりの悪い結果で、昨年末から今年初めにかけて予想されていたよりも景気回復ペースが遅いことの表れだ。