ロライマ州のスエリ・カンポス知事が13日、ベネズエラとの国境の一時封鎖を最高裁に求めたと13、14日付ブラジル国内紙、サイトが報じた。同件はローザ・ウエベル判事が担当する。
同知事は「国境管理は国の管轄で、何度も国に対処を要請したが、これまでに採られた策では州の必要に応えていない」と苦言を呈した。
同州へのベネズエラ人流入は2015年から急増し、これまでに約5万人が国境を越えたとされる。この事は、現在審査中の難民申請8万6千件中、2万8千件がベネズエラ人からのものである事からも窺われる。2010年の国勢調査による同州の人口は50万人だから、ベネズエラ人は人口の10%を超えたといっても良い。
5、6日に行われた、連邦政府によるベネズエラ難民移送計画は今後も継続されるが、同州は、保健衛生や教育などでの経済的な負担増や犯罪増加に喘いでいるのが実情だ。
2~3月に同州内で発生した殺人事件は44件で、昨年同期の24件からほぼ倍増。1週間~15日で1件程度だった火器押収もほぼ毎日となったという。今年起きた各種犯罪中、82件はベネズエラ人によるものだった。
また、連邦立産院でのベネズエラ人女性による出産数急増などで、昨年の医療機関の対応件数は前年比3千%増となった。
連邦政府は同州の保健衛生経費として、ボア・ヴィスタ市へ7800万レ、パカライマ市へ400万レを支出した他、同州へも1億2800万レを支払ったというが、カンポス知事は、連邦政府は何の支援もしていないという。
カンポス知事が最高裁に国境封鎖を申請したと聞いたテメル大統領は13日、「国境封鎖はブラジルの従来の政策に反す。最高裁が要請を却下すると信じている」と答えた。
ベネズエラ人の大量流入は、同国の政治的、経済的な混乱が原因だ。13、14日にペルーで開かれた米州首脳会議でも、ベネズエラの大統領選は野党が参加できておらず、現状のままでは結果は認められないとの立場を表明した国が16カ国に上った。ブラジルもその一つだが、テメル大統領は、大統領選の結果を認めないと宣言する事が国交断絶に繋がらないよう、配慮する事も求めた。同会議では、汚職撲滅やシリア問題への言及もなされた。
タグ:殺人事件 ベネズエラ ペルー カンポス 汚職 テメル大統領