ホーム | ブラジル国内ニュース | サンパウロ市地下鉄5号線=1億レアル超の損害で総裁ら被告人に=レール幅異なる車両購入=使用せず保証期限切れ=州検察の告発を地裁が受理

サンパウロ市地下鉄5号線=1億レアル超の損害で総裁ら被告人に=レール幅異なる車両購入=使用せず保証期限切れ=州検察の告発を地裁が受理

建設中の5号線のシャカラ・クラビン駅(Eduardo Saraiva/A2IMG)

建設中の5号線のシャカラ・クラビン駅(Eduardo Saraiva/A2IMG)

 地下鉄の車両購入に伴う不手際で、州財政に6億レアル以上の損害を出したとして、サンパウロ州都市交通局長のクロドアルド・ペリシオーニ氏や、サンパウロ市地下鉄(メトロポリタン公社・以下メトロ)総裁のパウロ・フィゲイレド氏ら、9人を対象とした起訴状を、サンパウロ州地裁が受理したと、19日付現地各紙が報じた。

 サンパウロ州検察局が提出した起訴状には、11年7月にメトロが5号線用に購入した26両の車両が使われずに放置され、6億1500万レアルの損害が生じたと記されている(被告人の罪状は「不適切行政」)。
 起訴状受理を決めたのは、サンパウロ州地裁、第12公共財務法廷のアドリアーノ・ラロカ判事だ。
 被告人には、サンパウロ州都市交通局長、メトロ総裁の他に、サンパウロ市役所秘書室長のセルジオ・アヴェレーダ氏、メトロ元総裁のピーター・ウォーカー、ルイス・パシェコ、ジョルジ・ファガーリの各氏、元サンパウロ州都市交通局長ジュランジール・フェルナンデス氏、メトロ元役員のダヴィジ・ツルブキ、ラエルシオ・ビアッツォッチ両氏が名を連ねる。
 この9人は、車両購入契約書類に署名している。車両を販売したスペインのCAF社は告発を受けていない。
 訴状では、損害額の6億1500万レアルの3割に当たる、1億8400万レアルの賠償を、9人に請求している。
 5号線は未だに全線開通には至らず、一部区間はテスト中だ。被告人たちは無罪を主張しており、サンパウロ州都市交通局もメトロも、「州財政には損害を与えていない」としている。
 担当検事のマルセロ・ミラネ氏は、「(被告人たちは)とるべき措置をとらず、車両を放置した。サンパウロ州政府は、『メトロは完成した』と喧伝しているが、実際は完成していない」と語る。
 起訴状には、「車両は使われないまま放置され、メーカーの保証期間も過ぎようとしている。維持費として、更なる出費が必要で、公庫への損害は明らか」と記されている。しかも、5号線のレールの幅と26車両の車輪の幅は異なっているともいう。
 5号線は、1998年にパウリスタ都電公社(CPTM)の支線として建設が始まった。2001年にメトロが計画を引き継ぎ、カッポン・レドンド駅~ラルゴ・トレーゼ駅区間が02年に完成した。
 残りの工事は2010年に再開するも、すぐに談合疑惑発覚で中断。2013年に工事が再開され、14年2月にアドルフォ・ピニェイロ駅、17年9月にアウト・ダ・ボア・ヴィスタ、ボルバ・ガト、ブルックリンの3駅、今年3月にエウカリプトス駅、4月5日にモエマ駅が開通した。
 完成すれば、サンパウロ市南部のサントアマーロ地区とメトロ1号線を結び、住民の交通の便は大きく改善されるが、全線開通までには今年いっぱいかかると見られている。