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ブラジルとワーキングホリデー協定の締結を

イメージ写真(フリー写真素材【写真AC】)

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 本紙14日付《若手・中堅弁護士が見た=日伯またぐ法律事務の現場=第3回=知られざる「日系三世ビザ問題」》は、非常に重要な問題提起だ。
 今まで三世はみな日本に行けるものだとばかり思っていたが、在サンパウロ総領事館管轄のみだったとは盲点だった。同コラムの著者は国外就労者情報援護センター(CIATE)専務理事の永井康之さんであり、デカセギ関係の専門家だ。
 いわく三世向けビザ資格である「定住者」として渡航するには、日本国内に居住する本人の親族が入国管理局で「在留資格認定証明書」を取得し、それをブラジルの本人に送付して、本人がその証明書を添付して在ブラジル日本国総領事館に特定査証を申請する》という手続きが必要だ。でも、実際にはこの「証明書」を取得するのが難しい。
 だから《日本に親族のいない日系三世はこの方法では日本に渡航できない。1997年以降、在サンパウロ総領事館に限って、在留資格認定証明書なしで定住者として渡航するための特定査証を発給するようになった》。
 そのため《在サンパウロ総領事館管内に住む三世は、就労予定先企業を見つけさえすれば訪日就労できるが、それ以外の領事館の管内に住む三世は、日本に親族が暮らし、在留資格認定証明書の申請手続をしてくれなければ訪日就労できない》状態だ。
 つまり、在サンパウロ総領事館管内以外の地域の三世は、取得が難しい「証明書」をなんとか手にするか、ビザ申請のためにこっそりサンパウロ州に住所変更するしかない…。
 このような総領事館ごとの格差は即刻是正されるべきであり、どの在外公館からも三世が日本にいけるようにしてほしい。
 ここで、アッと気付いたのは、7月から始まる四世ビザ制度にも「日系四世受入れサポーター」が必須だ。いわば日本側の身元保証人のような存在だ。
 法務省サイトには同サポーターについて《日本文化・日本語教育情報をはじめ、生活情報、医療情報、雇用情報等の提供や入管手続の援助を行うほか、日系四世の就労状況を含む活動状況を随時確認し、当該日系四世の在留期間更新許可申請時に、当該確認内容を地方入国管理局に報告する等の役割》と説明する。
 つまり相当めんどうな役割だ。
 三世向けビザでも「証明書」を取得してくれる人がおらず、事実上、在聖総領事館からしか三世が日本に行けないのに、それよりも仕事の多い同サポーターを引き受ける人がどれだけいるのか…。まずそこが心配だ。
 日本に行きたい四世は数万人もいるのに、日本側のサポーターが500人しかいなければ、それだけしか行けない。日系社会側からの要請を受けて四世ビザ制度を開始したが、実際には不可能な条件付けをしている可能性がある。
 つまり法務省は本心では受け入れるつもりがない――ということだ。
 コラム子は「日系人にかぎっては、日本は移民受け入れをすべき」だと考えている。ネット上の書き込みを見る限り、日本の日本人には「外国人移民受入れ」に嫌悪感をおぼえる人が多い。
 だが、日系人に関していえば、うまく受け入れれば在日三世代目には「ほぼ日本人的になる」と感じる。移民政策は三世代目を目標にする長期的な視野で考えてほしい。
 まず「日系人限定の移民政策」を試行して、それでも日本国民にアレルギーが起きるようなら、他の外国移民受入れは間違いなくダメだ。そんな試金石にしたらどうか。
 四世ビザのような中途半端なビザ制度より、ワーキングホリデー(以下ワーホリ、)協定を日伯で署名してほしい。日本は現在、20カ国とワーホリ協定を締結している。
 2017年5月にはお隣アルゼンチンと南米初の同協定を結び、年間200人枠で受入れを開始した。その後、今年2月からチリも南米2国目で開始した。当然、次はブラジルだ。
 日系、非日系に関係なくお互いの国や国民、文化に興味がある人が1~2年滞在できるような制度は、両国の友好親善に最低限必要だ。日伯交流をさらに深めるには、もっとそんな制度を整える必要がある。110周年を記念して1万1千人枠で始めたらどうか。(深)