10月の大統領選は候補乱立状態だが、テメル大統領の支持率が上がらない場合、民主運動(MDB)関係者が、民主社会党(PSDB)のジェラウド・アウキミン氏の支持に回る可能性が出てきていると、24日付現地紙が報じている。
MDBは10月の選挙で豊富な政見放送時間を確保しているが、同党の候補の支持率が伸び悩んでいるのが現状だ。テメル大統領は再選を狙っているものの、最新のダッタフォーリャの調査での支持率は2%に過ぎない。もうひとりの候補のエンリケ・メイレレス氏も、支持率は1%と苦しい状況だ。
テメル氏が再選を目指すためには、遅くとも7月の第1週までに正式に出馬を決定しなければならないが、現状の低支持率に加え、連邦検察庁から大統領就任以降3度目となる起訴が起こりうる状況にも置かれている。
MDB内部では、7月1週目までにテメル氏の支持率が向上しない場合は、中道・右派での候補連立を視野に入れることを検討中で、その場合の有力候補にPSDBのアウキミン氏が考えられているという。
奇しくもアウキミン氏自身も23日、「すでに候補者を出している党であっても、支持をしていただけるなら連立を受け付ける」という発言を行ったばかりだった。
また、テメル大統領自身も先週、PSDBのサンパウロ州知事候補のジョアン・ドリア氏との会合を行っている。テメル氏はマルシオ・フランサ現知事(ブラジル社会党・PSB)やMDBの候補でサンパウロ州工業連盟会長(FIESP)のパウロ・スカッフィ氏とも会合を行っており、ドリア氏だけに会ったわけではないが、ドリア氏側は、テメル氏と連邦政府との関係を深めた気でいるという。
そうしたテメル氏とPSDBへの接近を牽制してか、スカッフィ氏は自身のサンパウロ州知事選への出馬表明を5月5日に早める意向だという。
その一方、左翼政党側にも動きが出ているようだ。フォーリャ紙の報道によると、民主労働党(PDT)の候補シロ・ゴメス氏が23日、サンパウロ市でのカルドーゾ元大統領の著書出版記念イベントに顔を出した際に、労働者党(PT)のフェルナンド・ハダジ前サンパウロ市市長と会ったという。シロ氏はその際、ハダジ氏に自身の副候補にならないかと誘い掛けたという。
PTは現時点でもまだ逮捕中のルーラ氏の出馬にこだわっており、他党候補の副になることに難色を示しているが、「左翼票をまとめるためには協力が必要」との世論も決して少なくはない。