ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル最高裁》大型汚職捜査の進展を阻む裁定=オデブレヒトの供述はサンパウロ地裁に?=ルーラ元大統領を有利にするため、なりふり構わぬ弁護団

《ブラジル最高裁》大型汚職捜査の進展を阻む裁定=オデブレヒトの供述はサンパウロ地裁に?=ルーラ元大統領を有利にするため、なりふり構わぬ弁護団

ジウマール・メンデス判事(Valter Campanato/Agencia Brasil)

ジウマール・メンデス判事(Valter Campanato/Agencia Brasil)

 ブラジル最高裁判所第2小法廷は24日、判事投票3対2で、建設大手オデブレヒト社関係者による報奨付供述の内、ルーラ元大統領絡みの、アチバイア別荘疑惑やルーラ研究所疑惑に関する内容を、サンパウロ州連邦裁判所扱いとする事を決定したと、24、25日付現地紙・サイトが報じた。

 これまでは、オデブレヒト社の供述内容は全て、ラヴァ・ジャット作戦関連裁判を担当するパラナ州地裁のセルジオ・モーロ判事が扱う案件だったが、最高裁第2小法廷は、「オデブレヒト社の供述中、ペトロブラス社と関係ない部分は、ラヴァ・ジャット作戦関連の供述とはみなさない」と判断した。
 ただし、最高裁第2小法廷は、ルーラ元大統領弁護側による、「オデブレヒト社供述をサンパウロ州連邦地裁扱いとするように」との訴えを認めただけで、「パラナ州地裁第13刑事法廷(=モロ判事)がルーラ元大統領を裁く権限を奪うように」との訴えは出ていないため、現在、パラナ州地裁で進行中のアチバイア疑惑、ルーラ研究所疑惑の裁判はそのまま継続する。
 最高裁は昨年4月、オデブレヒト社関係者たちの供述は、全てペトロブラス社関連疑惑、つまりはラヴァ・ジャット作戦関連であり、モロ判事の扱いだとして、パラナ州地裁に送った。
 ルーラ弁護団は昨年、「最高裁による、オデブレヒト社供述のパラナ送付」を不服として訴えていた。同件報告官のエジソン・ファキン判事は昨年10月にこの訴えを却下。この時の審理では、小法廷の判事が全員、ファキン判事の判断を支持した。
 だが、ルーラ弁護団が昨年末に抗告。今年3月の再審では、ファキン判事が訴えを却下したのに、ジアス・トフォリ判事が「再検討要求」を出して審理が中断。24日に審理が再開され、結審した。
 ルーラ弁護団の訴えを却下するとしたのは、ファキン判事とセルソ・デ・メロ判事で、トフォリ判事は、「オデブレヒト社供述はペトロブラス社の疑惑(つまりはラヴァ・ジャット作戦)とは関係なく、サンパウロ州地裁の扱いとすべき」と主張。リカルド・レヴァンドフスキ判事もそれに倣った。
 4判事の投票が2対2の同点となった時点で迎えた第2小法廷リーダーのジウマール・メンデス判事の判断は、「オデブレヒト社供述サンパウロ州行き」だった。
 この判決により、オデブレヒト社供述を使って新しい捜査を行うか否か、また、現在進行中の裁判を、オデブレヒト社供述を証拠として進めるか否か、をサンパウロ州連邦地裁、サンパウロ州検察が判断する事になる。また、モロ判事はサンパウロ州扱いとなったオデブレヒト社供述の情報を、自分の扱う裁判の証拠として共有する事をサンパウロ州地裁に申請する事が出来る。
 パラナ州連邦地裁広報は「モロ判事はコメントしない」とし、パラナ州検察も「ラヴァ・ジャット担当班は同判決が捜査に及ぼす影響を精査中で、現在はコメントしない」と発表。連邦検察庁も「最高裁の決定に異議申したてを行うかどうか検討する」と述べるにとどめた。
 ルーラ弁護側は「これで、パラナ州連邦地裁第13刑事法廷がルーラ元大統領を裁く権利の正当性はなくなった」としている。