テメル大統領が民主社会党(PSDB)の大統領候補のジェラウド・アウキミン氏に対し、前財相のエンリケ・メイレレス氏(民主運動・MDB)を副候補にシャッパを組まないかとの提案を行っていることが26日付エスタード紙の報道で明らかになった。
同紙によると、テメル大統領は既にMDBとPSDBの広報に対し、自身が10月の大統領選に再選のために出馬することを断念したと伝えたという。
両者が再接近しはじめた理由となったのは、先日のダッタフォーリャの世論調査だったという。そこでは、テメル氏に投票したいとした人は国民のわずか1%に過ぎなかった。
さらに、政治未経験者の元最高裁判事、ジョアキン・バルボーザ氏がブラジル社会党(PSB)への入党を宣言しただけの状態で10%の支持を得たことにもテメル氏は脅威を覚えたという。
テメル氏としては、MDBが大統領候補を擁立して出馬して敗れれば、党が政治的に孤立する可能性があるため、「中道右派」で連立を組んで、与党勢力に残ることに目標を切り替えているようだという。
1985年の民政復帰以来、MDBが与党に入れなかったのは、フェルナンド・コーロル政権(1990~92年)のみだ。
この提案は、21日にテメル氏がPSDBのサンパウロ州知事選候補のジョアン・ドリア氏に面会した際に行われたといい、副候補にはメイレレス氏の名があったという。同氏は大統領になりたい意向が強いあまり、社会民主党(PSD)からMDBに移籍してきたいきさつがある。
アウキミン氏側はこの案を「検討する」としているが、印象は悪くないようで、選挙キャンペーンの参謀にメイレレス氏を副候補のひとりとしてリストに加えるよう命じたという。アウキミン氏はこれまで、副候補としてメンドンサ・フィーリョ氏(民主党・DEM)やアルヴァロ・ジアス氏(ポデモス)を考えていたという。
このシャッパが実現し、下院議員数の2位と3位のMDBとPSDBが組めば、選挙キャンペーン時の政見放送の時間はかなり豊富になる。また、この両党は既に12州の知事選でシャッパを組むプランも存在するという。だが、メイレレス氏と組む場合、アウキミン氏には、現政権の経済政策を擁護し、社会保障制度改革についても現政権が打ち出したものを汲む必要が生じる。
また、このシャッパが実現した場合は、サンパウロ州知事選への影響も避けられない。現時点では、MDB候補と見なされているパウロ・スカッフィ氏がドリア氏に譲る形で出馬を断念し、サンパウロ州選出の上議選に回る可能性や、ドリア氏が譲り、大臣職に就く可能性を取り沙汰する声も出はじめている。