ブラジル国庫庁発表のデータによると、2017年のブラジルの公共投資は、同年の国内総生産(GDP)比1・17%の769億レアルで、1970年の統計開始以来、最低となったと、27日付現地紙が報じた。
「公共投資」とは、連邦政府と26の州政府、連邦直轄区、5千を超える市という、全ての自治体の投資額を合算したものだ。
公共投資があまりに少なかったため、自治体は道路や建築物などの公共資産の保守さえ、満足に行えなかった。公共資産の価値を保つために必要な最低の投資額にも365億レアル足りなかった。この現象は16年も発生していたが、17年は悪化している。
1970年からの公共投資の対GDP比率を算出した、応用経済調査院(Ipea)の経済学者ロドリゴ・オライール氏とセルジオ・ゴベッチ氏によると、公共投資の対GDP比率は、1999年と2003年に1・5%近くまで下降したことがあるが、その後、持ち直したという。
しかしながら、2010年に2・8%を記録した後は、14年に1回上昇しただけで、下がり続けている。
統計開始の1970年はこの比率が4・42%だった。この年は後に「奇跡の経済成長」と評される10年間の初期だ。
公共財政の専門家で、現在は上院の独立税務機関(IFI)の長を務めるオライール氏は、本来なら最低限は行われるべき公共投資が行われていない現状を傷んだ家に例え、小規模な改修では、根本的な問題は解決できないとした。IFIは昨年の報告書で、17年の公共投資は過去20年で最低水準になるだろうと警告していた。
オライール氏は、「17年の公共投資対GDP比率1・17%は、私たちが昨年から指摘してきたことが統計に出たにすぎない」と語り、さらに「公共投資は選挙年に増えるので、今年の公共投資額は昨年よりはましになるだろうが、投資切り詰めの傾向は変わらないだろう」とした。
ベネズエラの焦げ付き債務を政府が肩代わり
歳出上限法の存在や、社会保障制度改革の失敗で、公的支出がなかなか減らない。政府は今年の財政目標を、「基礎的収支赤字1590億レ以内」と、大幅赤字を前提にしており、「投資」は優先度がもっとも低い。
そんな中、ベネズエラとモザンビークがブラジルからの借金を返せず、ブラジル連邦政府が肩代わりする必要が生じている。両国の債務不履行分は、財務省管轄下の輸出保障基金(FGE)から肩代わりされるが、今年5月8日に返済期限の切れる負債は総額13億レアル。この経費は今年度予算に計上されていないため、政府には補正予算案の提出と、資金捻出のための支出削減が要求される。支出削減の対象は議員割当金と見られ、議会側の抵抗が予想されている。