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《ブラジル》パロッシが報奨付供述へ=最高裁の承認待ち取引成立=労働者党にとっては爆弾的存在

パロッシ氏が収監されているクリチバの連邦警察署(André Richter/Enviado Especial/Agência Brasil/EBC)

パロッシ氏が収監されているクリチバの連邦警察署(André Richter/Enviado Especial/Agência Brasil/EBC)

 労働者党(PT)政権の中核的人物で、ルーラ政権では財相、ジウマ政権では官房長官をつとめたアントニオ・パロッシ被告が26日、パラナ州連邦警察との間で報奨付供述(デラソン・プレミアーダ)を行うことで正式に合意した。正式な司法取引成立には最高裁による承認が必要だが、認められれば、PT政権の新たな疑惑が浮上する可能性もある。27日付現地紙が報じている。
 パロッシ被告の名前はオデブレヒト社の賄賂分配表に「イタリア」というコードネームで記されており、16年9月のラヴァ・ジャット作戦第35弾で、収賄と資金洗浄の容疑で逮捕された。
 その頃から同氏の存在はPTにとって爆弾となりかねないものとされ、早期のデラソン実施も予想された。だが、16年9月に連邦検察庁との間で試みたデラソンは承認には至らなかった。
 パロッシ被告は17年7月に、パラナ州連邦地裁で、オデブレヒト社からの収賄と資金洗浄の罪で12年2カ月と20日の実刑判決を受けた。同社がセッテ・ブラジルやバイア州パラグアスーのエンセアーダ造船所と結んだ石油採掘船建設契約に伴うものだった。
 その後も、パロッシ氏はパラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事に対して、「ルーラ氏は自身の任期が終わる頃から翌年(2010年後半~11年前半)にかけて、オデブレヒト社と血の契りを交わした」として、ルーラ氏が同社から3億レアルの収賄を行った疑惑などについて語ったが、それらは報奨付供述とは認められていない。
 今回まとまった報奨付供述に関しては十分な情報が流れておらず、取調べを行うのが連警になるのか、検察庁になるのかも決まっていない。司法取引の成立と取調べに関する最終決定権は最高裁が担っている。
 パロッシ氏の供述は、ルーラ氏が大統領に就任した2003年から2015年あたりまでのPT政権にまつわる、政治や財政面での疑惑に関するものが中心になると予想され、社会経済開発銀行(BNDES)に関する疑惑解明にも貢献すると見られている。
 連邦警察では、PTがペトロブラスとの契約で贈収賄工作を行った際、仲介役となった企業が存在するのか、あるとしたら、どこでどのように行動したのかも知りたがっているという。