【既報関連】ブラジル政府は、ひっ迫した国家財政改善のため、国内全域に広がる27万6千件の不動産の所有権を売り出すことに決めたと、4月30日付現地紙が報じた。
これらの土地の所有権は、83%が民間企業や家屋所有者に、残りの17%が国に属している。企業や家屋の所有者は、土地の所有権を政府と分割しているため、常に、借地料的な料金を国に収める必要がある。政府側は、土地の権利売却による収入は93億レアルになると試算している。
6月に売却開始となる予定の、サンパウロ市大都市圏サンタナ・デ・パルナイバ市のアルファヴィレ地区とバルエリ市のタンボレ地区は、高級集合住宅などで、土地の所有権売却による収入は14億レアルと見積もられている。
アルファヴィレの不動産の83%はペンテアド家に属していた。同家は1967年に国と契約を結び、国が有する17%分について、フォーロと呼ばれる使用料を納める事で合意した。ペンテアド家の土地は、現在は集合住宅や商店街、工場地帯となっている。
住宅の所有者たちは、不動産価格から修繕費などを差し引いた額の0・6%を毎年、政府に支払う義務がある。また、不動産を売却する場合、借地権者移動の礼金として売却額の5%を政府に払う義務がある。
政府が所有する17%の権利を買い取れば、借地料や住宅売却時の礼金の支払いから開放されるため、企画省は今回の売却オペレーションには需要があると見ている。
企画省国有資産管理局長のシジラッキ・コレイア氏は、「我々は在庫一掃セールを行いたい」と語った。政府は市場価格に則って所有資産の価値を見積もっている。所有権の売却額には建築物の価値は含まれず、土地の価格だけを基に算出される。売却予定物件の中には商店、集合住宅、ビル、工場などがある。
同局長は、売却期日は設けていないとしつつも、最終的な売却額は見積額を上回り、売却手続きも早急に行われるだろうとしている。
ただ、アルファヴィレ地区の集合住宅住人は、「政府への借地料支払義務に関しては、何人もの住民が支払い義務は不当だと裁判に持ち込んでいるが、何年も未解決」と語っている。この住民も固定資産税の他に年間1200レアルの借地料を払っているという。
国有資産管理局長は、電力公社エレトロブラス(EB)社が所有している800の物件売却も計画している。E紙によれば、EB所有の売却予定物件の中には墓地や肉屋も含まれている。また、国立社会保険院(INSS)所有の物件3800件と、今はもう存在しない連邦鉄道株式会社(RFFSA)が所有していた不動産4千件も売却される予定だ。