連邦検察庁のラケル・ドッジ長官は4月30日、ルーラ元大統領やグレイシ・ホフマン労働者党(PT)党首、PT政権時代の閣僚のアントニオ・パロッシ氏やパウロ・ベルナルド氏らを、オデブレヒト社からの収賄容疑や資金洗浄の疑いで起訴した。1日付現地紙が報じている。
ドッジ長官の訴状によると、ルーラ氏は大統領だった2010年、オデブレヒト社に対して事業で便宜を図る見返りに、合計4千万ドル(当時の為替で6400万レアル)の選挙献金(賄賂)を受け取る約束を取り付けていたという。
その中の一部は、グレイシ現PT党首が2014年にパラナ州知事選に出馬した際に支払われたという。検察庁の指摘では、グレイシ氏側はオデブレヒト社に対して500万レアルの支払を求めていたといい、隠し口座には少なくとも300万レアルが払いこまれていたという。
グレイシ氏は2010年にパラナ州知事選に出馬した際もペトロブラスとの契約絡みで100万レアルを受け取ったとされており、既に、収賄と資金洗浄の容疑で被告となっている。
ドッジ長官によると、今回の贈収賄は、オデブレヒトがアフリカのアンゴラでの事業の際に、社会経済開発銀行(BNDES)からの融資の増資を受けた恩恵の見返りだと見られている。
BNDESの増資は2010年6月に貿易協議所(CAMEX)で採択されたが、このとき、企画相として同件に携わったのが、グレイシ氏の夫のパウロ・ベルナルド氏だったという。
また、この件でのオデブレヒトへのPT側の交渉役には、ベルナルド氏だけでなく、元財相だったパロッシ氏が絡んでいるという。
今回の容疑は、メールのやり取りや、オデブレヒト社内で見つかった賄賂分配表に基づいたものだ。パロッシ氏はそこに「イタリア」とのコードネームで記載され、すでに同社との別の贈収賄工作の件で有罪判決も受けている。
今回の贈収賄工作にはルーラ氏も絡んでいた可能性があるという。それは、BNDESからの増資に関し、当時の社長マルセロ・オデブレヒト被告が先代社長でルーラ氏とは旧知の仲の父親(エミリオ氏)に対し、ルーラ氏に口を利くように頼んだとの証言があるためだ。ルーラ氏への起訴はこれが7度目となる。
この検察庁からの起訴に対し、グレイシ氏は「無責任な訴えだ」として批判している。