【既報関連】サンパウロ市中央部で1日未明に起きた24階建てビルの火災、崩壊後、同市内では少なくとも206の不動産が不法占拠されており、その大半は火災や崩壊の可能性があると2、3日付現地紙、サイトが報じた。
サンパウロ市市長のブルーノ・コーヴァス氏は1日、崩壊したビル同様、不法占拠中のビルは70あり、3300世帯が住んでいるため、早急に実態調査を行うと語ったが、サンパウロ市住宅局の資料で見ると、これはあくまでも市中央部だけのものだ。
同局の資料によると、市中央部では53カ所で不法占拠が起きており、3300世帯が住んでいる。以下、市東部は45カ所、1万3849世帯、市北部は38カ所、1万1427世帯、市南部は31カ所、8716世帯、南東部は27カ所、5914世帯となっており、総計206カ所、4万5872世帯に及ぶ。
1日の火災では、火元となったビルが崩壊した他、隣接する二つのビルが延焼。隣にあるルーテル教会も崩れた瓦礫や残り火で、会堂の80~90%に被害が出た。
崩壊したビルは、2015年に非常に危険な状態と訴えられ、消防などの検査も行われたが、国の資産という事もあり、強制退去などの対象にはならなかった。ただ、むき出しの電線、消火栓やホースの不備、スプリンクラーも使えないなどの問題は指摘されていた。
大都市内の空きビルや空き地は、ホームレスの人達にとって格好の住処となる。今回崩壊したビルは「正当な住居のための闘争運動(LMD)」というグループが指揮をとり、家賃も集めて共用費などを払っていたようだ。同様のグループは数多く、移民や難民、貧困家庭を住み着かせては、共用費などの名目で家賃を集めている。
今回崩壊したビルは国の財産だが、被災した住民の登録などはサンパウロ市が実施。今後の責任分担などは話し合いが必要だ。
崩壊現場は丸2日間、瓦礫を冷やす作業が行われ、生存者捜索のための警察犬投入なども行われた。3日からは重機も投入され、瓦礫撤去作業が本格化したが、生存者がいる可能性があり、あくまでも、慎重に作業を進めている。防災局は事件後、延焼した二つのビルや教会など、五つの建物を立ち入り禁止とした。