ブラジル日本文化福祉協会(呉屋春美会長)は先月28日、『第154回定期評議員会』を行った。日本移民110周年記念事業の資金集めは目標の300万レアル(約9300万円)に達成する予定と報告された一方、文協自体の会計は2016年度に続いて昨年度も赤字となり、増収が急務であることが改めて浮き彫りとなった。
110周年記念事業の柱は二つ、「国士舘大学スポーツセンター開発計画」と、7月21日に県連日本祭り内で行われる移民110周年記念式典だ。国士舘に200万レアル(6200万円)、記念式典の会場設営に100万レアル(約3100万円)を要する。西尾ロベルト副会長は資金集めについて、「すでに200万レアルが集まっていて、リッファ(協力券)や企業からの支援で目標(300万レアル)に到達する予定」と話した。
昨年11月に発売したリッファは約85万レアルを売り上げ、そこから1割ほど税金や諸経費が差し引かれるという。先月からホンダの車が当選するリッファ第2弾の販売が始まっていて、前回と同程度の売上げを見込んでいる。
文協自体の昨年度会計は収入392万1165レアル、支出432万7714レアル、営業外収益1万5718レアルで、42万2266レアルの赤字を計上した。赤字額は昨年度の約2倍。中島エドアルド事務局長は「支出は昨年と同程度だが、賃貸収入やスポンサー収入が減った。これらは経済状況に左右される」と説明した。
文協ビル地下一階の文化ホールは15年4月に着工したが資金が集まら
ず、現在は工事が中断状態。総工費約202万レアルに対し、約60万レアルが不足。引き続きルアネー法の適用(税制上優遇措置)を受けて資金を集める方針だと説明があった。
移民史料館運営委員会も資金不足に直面。先月、資金が集まった第1期改修工事のみが始まった。だが4期まで予定されており、全額を調達する目処は立っていない。また開館40周年記念事業の「史料デジタル化」は実現が難しいという。
評議員の鈴木雅夫サンパウロ新聞社社長は、国士舘大学スポーツセンターの名称変更を提案。これに対して山下譲二評議員長は「名称変更を検討する。国士舘大学に掛け合ってみる」と前向きに回答した。
呉屋会長は取材に対して「最も重要なことは増収。早期の収益獲得のため、文協が保有している絵画などの美術品の売却を検討している」と話した。今月、文協内の会議で発議する予定だ。
「長期的な利益を作るには賃貸収入や会員を増やす必要がある。移民史料館や文化ホールを完成させて、文協をもっと魅力的な施設にしなくては」と話した。