ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル連警》大型闇為替ブローカーを一斉摘発=9年間で16億ドルを動かす=「別の汚職がまだ出てくる」と検察官

《ブラジル連警》大型闇為替ブローカーを一斉摘発=9年間で16億ドルを動かす=「別の汚職がまだ出てくる」と検察官

CD作戦についての記者会見に臨んだ検察官たち(Tomaz Silva/Agencia Brasil)

CD作戦についての記者会見に臨んだ検察官たち(Tomaz Silva/Agencia Brasil)

 ブラジル連警による大型汚職捜査ラヴァ・ジャット(LJ)作戦の関連捜査、〃カンビオ・デスリーゴ〃(CD)作戦が3日に決行された。リオ、ミナス、リオ・グランデ・ド・スール、サンパウロ州の5州と連邦直轄区、隣国のウルグアイ、パラグアイで、計45の逮捕、家宅捜索令状が執行され、同日だけで闇ブローカーや運び屋33人が逮捕されたと、3、4日付ブラジル各紙・サイトが報じた。

 連警、連邦検察庁、国税庁が合同で行ったCD作戦は、2008年から17年までの間に、世界52カ国に散らばる3千以上のオフショア企業が行った、総額16億ドルに及ぶ違法取引の流れを解明し、闇ブローカー間のつながりを断ち切る事を目的としている。オフショア企業は、タックス・ヘイブン(租税回避地)にあるダミー企業を指す。
 同作戦最大のターゲットは、ブラジル最初の闇ブローカーといわれる故モルジコ・メッセルの息子で、現在ブラジルで最も影響力の大きい闇ブローカー、ダリオ・メッセルだが、同氏は逃亡中だ。CD作戦は、17年3月にパラグアイで逮捕された2人の闇ブローカー、ヴィニシウス・クラレット(通称ジュカ・バラ)、クラウジオ・バルボーザ(通称トニー)の報奨付供述に基づいて行われた。彼らは、多数の汚職容疑で有罪判決を受けて服役中のセルジオ・カブラウ元リオ州知事を頭とする犯罪集団の資金洗浄に関わっていた。
 二人の供述で暴露された資金洗浄計画は、「ドル・ケーブル」と呼ばれるシステムを利用したもの。出所を公にできない現金を持つ人物のレアルと、ブラジル国外の租税回避地などに口座を持ち、ブラジルで贈賄などの工作に使うためのレアルが必要な人物のドルを、闇ブローカーが相殺する手口だ。
 闇ブローカーは国内外の顧客に対し、現金の受け取りや引き渡し、口座開設や振込みの指示などの〃サービス〃を行って手数料を受け取る。
 レアルを持っていた人の国外口座にはドルの預金が残り、別人の国外口座のドルはレアルの現金に化けるが、ブラジル当局は金の流れに目が届かないため、本来課せられるべき税金や為替手数料などは闇ブローカーや利用者の利益となる。
 LJ作戦で報奨付供述を行ったアルベルト・ユセフ被告によれば、ジュカ、トニー、ダリオ・メッセルらはブラジルで5本の指に入る「ブローカーの中のブローカー」で、闇ブローカーたちの元締めだ。彼らは大量の顧客情報や国外口座、下請けブローカーを抱えて活動していた。
 ロドリゴ・チモネオ検察官は会見で、「今後は無数の国外口座の詳細を調べねばならない。これらの口座はブラジル国内での汚職作戦と密接な関係がある。ジュカやトニーは、オデブレヒト社のような企業の汚れ仕事を代行していた。CD作戦を進めていけば、まだ明らかになっていない汚職がどんどん出てくる可能性もある。これは発端に過ぎない」と語った。