【既報関連】先月10日に発表されたテメル政権の内閣改造で、続木正剛保健衛生大臣以来、実に28年振りに4人目の日系大臣が誕生した。そのヨムラ・エウトン労働大臣(35、三世、リオ州出身)がジョルナル・ニッパキ紙の取材に応じた。不安定な政治局面において、若くして大臣に就任したヨムラ氏は、リオの日系社会のなかで育った若かりし頃の思い出や、多忙極まる労働大臣としての日々の職務について語った。
ヨムラ氏は、日系二世の父親のもとに生まれた。幼少期は空手に通い、青年期は日系社会を通じて様々な日本のスポーツに触れ、特に野球に興じたという。
リオ日系社会の行事にも積極的に顔を出し、「数々のイベントが記憶に残っている」と懐かしむ。そんなヨムラ氏が特に好きだというのが漫画。「見事なほど創造的だ」と語る。
そのように日本文化に触れて育ったためか、「どのような自分の特質が日本文化に帰属しているかといえば難しいが、強いて言えば集中力と仕事への熱意が培われたので」と自己分析している。多忙極まる大臣としての職務にも、日本精神が活かされているようだ。
ヨムラ氏は、ヴェイガ・デ・アウメイダ大学法律学部卒後、フルミネンセ連邦大学院行政法学部卒。05年からリオ市検事総長行政法補佐官、リオ市交通局補佐官等を歴任。16年に労働省リオ州地区長官、17年10月に労働省重役秘書を経て、今年1月から労働大臣代行となっていた。
今年10月に実施される統一選挙に出馬するため、閣僚が先月7日を期限として離職したことに伴う内閣改造で、ヨムラ氏は労働大臣に正式に就任した。
不安定な政治局面において大臣に就任したことについて、「ブラジルが繁栄への道を取り戻すために、効率性や組織が不可欠となる局面において、このような重要な職務に就き、国民の要請に応えてゆく立場にあることは、非常に名誉であり喜ばしいことだ」と語る。
労働大臣の職務については「日常業務は非常に切迫したもの。日々刻々と状況が変化し、新たな課題が生ずる」と難しさを語るも、「それが私を駆り立ててくれている。集中力を持つことで、優先順位を確定し、物事を前に進めることができる」と粘り腰で取組んでいるようだ。
昨年末、74年振りに改正された新労働法のもと、経済成長による雇用創出が期待されるなか、「ブラジル経済の活性化に伴って、外国に居住するブラジル人も帰国するのではという期待を持っている。多くのデカセギが日本で良い仕事をしているが、国際的な経験を得たこのようなブラジル人がたくさん戻ってくれば、それは素晴らしいことだ」と語った。