アルゼンチン中銀は4日、4月27日以降、8日間で3度目となる政策金利引き上げを断行し、同国の金利は年利40%に達したと、5日付ブラジル各紙が報じている。
今年に入って、米国の好景気に伴う利上げ警戒感により、世界中の通貨が対ドルで大きく価値を下げている。最も下げ幅が大きかったのは、今年に入って4日までに14・08%も下落したアルゼンチン・ペソだ。ブラジル・レアルはマイナス6・2%で、下げ幅5位となっている。
アルゼンチンのマクリ政権は、ペソの下落を食い止めるため、4月27日に3%ポイント(P)、5月3日にも3%P、5月4日には6・75%Pと連続利上げを行った。この結果、同国の金利は8日間で12・75%P上昇して年利40%になった。
年40%という政策金利は、世界を見渡しても、2位ベネズエラ(21・7%)、3位ハイチ(20%)、4位アンゴラ、ガーナ(18%)らを大きく上回り、断トツトップだ。
ブラジル政府も隣国の動きを注視しているが、今のところ、それほど大きな影響はないとの見方が大勢だ。
ブラジル財務省経済政策局長のファビオ・カンチュキ氏は、ブラジルは国外債務も財政状況も、インフレ事情もアルゼンチンとは異なる。その事は国外企業や投資家も知っており、通貨危機がブラジルにも波及する心配は少ないという。同局長は、「アルゼンチンの国内総生産(GDP)が10%下がっても、ブラジルのGDPには0・05%ほどの影響しかない。要は、影響はない」とも語った。
同局長は、アルゼンチンのとった諸政策、「金利大幅引き上げ」、「銀行のドル買占め制限」、「社会保障費削減による、今年の財政赤字限度目標のGDP3・2%以内から2・7%以内への引き下げ」を「パーフェクト」と評価した。
「ブラジルへの経済的な影響は少ない」と評されたアルゼンチン事情だが、影響が出る可能性が指摘されているのは、自動車輸出部門だ。
ブラジル貿易協会(ACEB)のジョゼ・アウグスト・カストロ会長は、「アルゼンチン・ペソの下落は影響する。自国通貨の価値が下がればアルゼンチン側の輸入コストがあがり、ブラジルからの輸出が伸び悩む」と語った。
アルゼンチンは、ブラジルの輸出先としては、中国、米国に次ぐ3位で、今年1月から4月までの輸出額は60億6千万ドルだ。また、その内の31%にあたる18億6800万ドルは自動車輸出によるものだ。1~4月のブラジルの自動車輸出額は20億6800万ドルで、その9割がアルゼンチン向けだった。