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民謡全伯大会、草野さんが優勝=11月の日本大会出場を決める

朗々と歌い上げる草野さん

朗々と歌い上げる草野さん

 ブラジル日本民謡協会(塩野彰会長)は先月29日、宮城県人会館で「第51回日本民謡全伯大会」を開催した。草野建壽さん(74、福島県)が優勝し、11月に日本で開催される「民謡民舞全国大会」への出場権を手にした。

 大会は午前8時半に始まり、今年もパラナ州クリチバ、マリンガなど遠方地からも参加者が集まった。約120人が出場し、歌声を競い合った。
 優勝した草野さんは「秋田酒屋仕込み唄」を披露。伸びやかな歌声と情感たっぷりの表情で歌い上げた。「まさかという感じ。思ってもみなかった」と優勝に驚きをあらわした。
 草野さんは15歳のときに家族とともに福島県から移住した。父親が民謡と太鼓が好きで、草野さんが子供のときよく父親の歌声や太鼓を叩く音を聞いていたという。
 自身が民謡を始めたのは10年ほど前から。2000年代初頭から出稼ぎのため愛知県で働き、そこで習い始めた。11年の東日本大震災を機にブラジルに戻り、民謡を本格的に練習し始めた。
 これまでも何度か大会に出場しており、ついにつかんだ日本行きの切符だ。「自分はまだまだ未熟です。選んでもらって恐縮ですが、日本での大会に向けて練習をがんばりたい」と意気込んだ。
 審査委員長の石川諭(さとし)さんは「気持ちを出して歌っていて、それが伝わってきた。表現が頭ひとつぬきんでていた。日本で頑張ってほしい」とエールを送った。
 当日は10歳以下の子供たちも出場して元気な歌声を会場に響かせた。最高齢出場者の右田守男さん(101、熊本県)は「島原の子守唄」を100歳過ぎていると思わせない声量で歌った。来場者は驚いたが、右田さんは「いやあ、うまくいかなかったね」と恥ずかしそうに話した。
 前回大会で優勝した安永幸柄さん(31、四世)も歌声を披露。昨年11月に日本の「民謡民舞全国大会」に出場し、ブラジル代表として初めて優秀賞に輝いた。そのときに歌った「道南口説節」を歌い、会場からは大きな歓声と拍手が送られていた。