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《ブラジル》大統領選=バルボーザが出馬を断念=支持率高い候補だが=政党内部や家族説得できず=今後のPSBの動向にも注目

バルボーザ氏(Nelson Jr./SCO/STF)

バルボーザ氏(Nelson Jr./SCO/STF)

 8日、10月の大統領選への出馬が有力視されていた元最高裁判事のジョアキン・バルボーザ氏(ブラジル社会党・PSB)が出馬断念を発表した。同氏は世論調査でも全体で3、4位となる10%前後の支持率を獲得し、政界浄化を期待する人たちの票を集めるのではないかと期待されていた。8日付現地サイトが報じている。

 バルボーザ氏は8日午前10時7分に自身のツイッターに、「決断した。この数週間、様々なことが起きたが、結論に達した。大統領選には出馬しない。それは個人的な理由によるものだ」とのツイートを投稿した。
 バルボーザ氏は最高裁判事時代の2012年にメンサロン裁判で報告官を務めた際、これまでのブラジル史上では例がないほどの強い気迫で汚職政治家を断罪したことから国民の人気が高まり、13年6月のサッカーのコンフェデ杯の際の全国的なマニフェスタソンの際には、「大統領になってほしい人」で上位に入るほどの人気だった。
 そして14年7月に、当時務めていた最高裁長官を辞任。それ以来、政界入りが囁かれ、この4月6日のPSB入党宣言で実現したかに見えていた。そして、その翌週に行われた世論調査では、正式に大統領選出馬を宣言していたわけでもない状態で10%前後の支持を集めていた。
 PSB側もバルボーザ氏を大統領候補として迎えたつもりで、当初、5月前半までには正式に同党候補として発表するつもりでいた。
 だが、PSBの州知事たちが同氏を大統領候補として擁立することに反対したほか、バルボーザ氏の家族も反対したことで雲行きがあやしくなった。さらに、バルボーザ氏を引っ張ってきたPSBの幹部の中からも、きちんとした経済プランを立てられないバルボーザ氏に不満の声があがりはじめていた。今回の出馬断念は、これらの問題で改善点が見られなかった結果と見られている。
 バルボーザ氏は、メンサロン裁判時に労働者党(PT)の政治家を断罪したイメージから、中道右派層から受けが良かったが、従来の思想や言動から、左派層の受けも良く、大統領選に向けても有利なのではないかと目されていた。とりわけ、これまで政治にあまり関心のなかった層のポピュリスト的な票の獲得も期待されていた。
 バルボーザ氏の出馬断念を受けて、今後は、候補を失ったPSBがどの候補の支持に回るかが注目される。PSBは下院議員数が20人を超える政党で、大統領選キャンペーン時での政見放送枠が1分弱あることから、有力候補による争奪戦が予想される。