8日のジョアキン・バルボーザ氏の大統領選出馬辞退を受けて、大統領候補を抱える各政党がブラジル社会党(PSB)の綱引き状態となっており、大統領選におけるひとつの大きなポイントとしてとらえられている。この恩恵を最も受けるのがシロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)と見られていると、9日付現地紙が報じている。
バルボーザ氏の辞退をめぐり、PSBの党幹部の間では「他に候補がいない」「バルボーザ氏を翻意すべきだ」「他の独自候補を」と意見が割れているという。
だが現状で、同党内には他に強い候補が見られないことは事実で、下院議員数20人以上で選挙キャンペーン時の放送時間を1分弱持つPSBは、他政党からは魅力的な存在となっている。
しかも、PSBの場合、原則は左派ながら、企業家とも歩調を合わせる路線を取っている党でもあるため、中道政党からの関心も強い。
現状で現地紙は、PSBの連立候補としてシロ氏、ジェラウド・アウキミン氏(民主社会党・PSDB)、マリーナ・シウヴァ氏(REDE)の名をあげているが、特にシロ氏が最有力なのだという。
それはシロ氏が元PSBの党員であること、PSBとPDTが共に「中道寄りの左派」のイメージがある上に、既に州知事選においてはサンパウロ州、ミナス・ジェライス州、連邦直轄区など八つの州や区でシャッパを組むことなどで合意が成立しており、大統領選での連立はもっとも自然だという見方がある。PSBとPDTは来週にも、同件について話し合う意向だ。
シロ氏に関しては、民主党(DEM)の大統領候補であるロドリゴ・マイア氏も接近中だという。支持率1%と伸び悩む同氏は自身の出馬を諦め、同氏を支持する進歩党(PP)と共和党(PR)共々、シロ氏の支持に転じる可能性を側近が認めていると現地紙は既に報じている。その目的は、テメル大統領が接近の姿勢を見せているアウキミン氏に対抗するためだという。
PSBとアウキミン氏とは、サンパウロ州のマルシオ・フランサ知事がアウキミン氏の知事時代の副であったことで近い間側にあった。だが、PSDBがジョアン・ドリア氏を同知事選候補として出したことで関係が微妙になっている。また、テメル政権の社会保障制度改革の賛否を巡り、PSBが2分化して離党者が相次いだ際、同党に残留した勢力は、社会保障制度改革に反対する左派が多くなっている。
また、14年の大統領選でPSBから出馬したマリーナ氏は、PSBとの連立には興味を示していないと言われている。