最高裁のディアス・トフォリ判事は9日、3日の判事投票で決まった連邦議員に対する法的特権(フォロ・プリヴィレジアード・FP)の制限を、連邦政府の閣僚や、判事や検察官を含む司法関係者などの他の要職従事者(アウトリダーデ)に拡大させる提案を行った。10日付現地紙が報じている。
法的特権が制限されると、連邦議員は案件山積みの最高裁でのみ裁かれるといった特権待遇がなくなり、より迅速な審判が可能な地裁へ移送されることになる。現状では法的特権のある要職者ほど裁かれるのが遅く、その間は推定無罪を享受することができる。
アウトリダーデには、連邦議員の他、行政では大統領や連邦政府閣僚、州知事、州議員、市長が含まれる。また、司法関係では連邦と州それぞれの判事や検察官など、それ以外では軍司令官なども対象となる。とりわけ多いのは判事と州検察官で、共に1万人を超える数が存在する。
もし、FPが連邦議員以外にも適用されれば大きな変化となる。
トフォリ判事の提案は二つだ。ひとつは5月3日に最高裁投票で決まった結果(FPの対象を、任期中に犯し、職務または職責に関連した犯罪のみに限定する)を判例とし、他のアウトリダーデにも当てはめること。もうひとつは、地方のアウトリダーデのFPを規定している州法を廃止することだ。
トフォリ判事いわく、この提案は、地域によって独自の法解釈が行われてFPの扱いがまちまちになることを防ぎ、FPの解釈を統一するのが目的だという。
だが、問題もないわけではない。これを成立させるためには、検察庁の意見を聞いた上で、最高裁判事11人の内、最低8人の判事の承認を得ることが必要で、通常より条件が厳しいからだ。複数の最高裁判事は、「FP統一適用に関する書類をまだ読んでいない」として、意見を語るのを避けた。
中でも、ルイス・フクス判事は「他のアウトリダーデのことに関する場合の議論は十分に行う必要がある。それなしでは成立させることはできない」と語っている。
一方、FPの適用に関しては連邦議会が既に制限に向けて動いている。17年には既に同件に関する憲法改正法案(PEC)が上院で承認されており、同年12月には総勢35人からなる下院特別委員会の創設も認められていた。下院の特別委員会は、8日に正式に発足し、委員長なども選出された。
上下両院でのFP改正法案は最高裁のものより一層厳しいもので、「司法・行政・立法のそれぞれの長以外にはFPを認めない」というものだ。
ただ、この件に関するPECが、2018年中に議会で承認されることはない。それは、今年2月にリオ州の治安部門の統治を連邦政府が行うための直接統治令が出されたためだ。直接統治令が出ている間は憲法改正を行うことはできない。