ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》メンデス判事がまた大物容疑者釈放=PSDB高速道疑惑の中心=国外に巨額の隠し口座所有=口封じ疑惑にも「根拠なし」

《ブラジル》メンデス判事がまた大物容疑者釈放=PSDB高速道疑惑の中心=国外に巨額の隠し口座所有=口封じ疑惑にも「根拠なし」

メンデス判事(Valter Campanato/Agencia Brasil)

メンデス判事(Valter Campanato/Agencia Brasil)

 最高裁のジウマール・メンデス判事は11日、4月6日から贈収賄工作の容疑で逮捕されていたサンパウロ州高速道開発公社(DERSA)の元技術部門理事のパウロ・ヴィエイラ・デ・ソウザ(通称・パウロ・プレット)容疑者の釈放命令を下した。同氏は民主社会党(PSDB)のオペレーターのひとりと見られており、国外の隠し口座に巨額の預金があることも確認済みだ。またメンデス判事の、中道右派政党の政治家への甘さも指摘されている。12日付現地紙が報じている。

 パウロ・プレッタ容疑者は、2009年から11年にかけて、サンパウロ市の循環高速道「ロドアネル」の建設を巡り、770万レアルの横流しを指揮した容疑で逮捕されていた。この時期のサンパウロ州知事はジョゼ・セーラ氏(2007~2010年4月)とジェラウド・アウキミン氏(2011年~2018年4月)で、いずれもPSDB政権下で起こったものだ。
 ブラジル検察庁がスイス当局から受け取った情報によると、同国の銀行に持っていた隠し口座には1億1300万レアルにも及ぶ巨額の預金があることが確認された。その金の大半は、既にカリブ海のバハマにある銀行に転送されたという。
 また、同容疑者がスイスに持っている口座は、2007年にDERSAの理事に就任した直後に作ったなど、怪しい行動も確認されている。
 さらに同容疑者は、DERSA委託職員で、同氏と共に起訴されたメルシア・フェレイラ・ゴメス氏に対し、口止め金の提供や肉体的な暴力も含めて、2年にも及ぶ贈収賄工作に関する恐喝行為を行っていた疑いでも訴えられてもいる。
 また、ラヴァ・ジャット作戦で逮捕されたゼネコン関係者たちの供述でも、パウロ・プレット氏の名前は繰り返し登場している。
 だが、メンデス判事は、今回のパウロ・プレッタ容疑者の逮捕拘束が「長すぎる」と判断。さらにメルシア氏の供述なども「証拠としては不十分」だとして同容疑者の釈放を命じた。
 同容疑者に関しては先週、高等裁判所が人身保護令適用を却下したばかりだったが、それも覆されたことになった。
 メンデス判事はかねてから「ラヴァ・ジャットでの逮捕拘束は不当に長い」との持論を展開しており、昨年から企業関係者や政治家の逮捕者に人身保護令を数多く適用して問題視されている。
 同判事はカルドーゾ元大統領(PSDB)の指名で最高裁判事に就任。テメル大統領(民主運動・MDB)とも非常に懇意で、大統領公邸にしばしば出入りしていることなどが知られている。