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《ブラジル》W杯景気、前回ほどの勢いなく=「効果はあくまで限定的」とも

W杯開幕まであと1カ月を切ったが、TVの売り上げの伸びは前回大会直前期を下回っている(Arquivo /Marcelo Casal Jr./Agencia Brasil)

W杯開幕まであと1カ月を切ったが、TVの売り上げの伸びは前回大会直前期を下回っている(Arquivo /Marcelo Casal Jr./Agencia Brasil)

 ロシアW杯開幕まで、ちょうど1カ月、14日にはW杯に出場するメンバー発表も行われたが、ブラジル経済はまだ、いわゆる〃W杯景気〃の恩恵を受けていないと、14日付現地のニュースサイトが報じた。
 W杯前は、通常テレビの売り上げが伸びると言われているが、今のところ、楽観的になれる要素は出てこない。全国電気電子製品メーカー会(Eletros)によると、今年のテレビの売り上げ予想は昨年比では10%増の1250万台だが、今年上半期の売り上げはこれまでのところ、前にW杯が開かれた2014年のペースを下回っている。
 テレビの売れ行きと相関性が高いのが、有料放送チャンネルの契約件数だ。有料放送NETの幹部は、「本来、業界のメインコンテンツは映画と子供向けチャンネルで、スポーツは、ドラマと並んでその次。でもW杯の年は、契約者数を伸ばしてくれるのはスポーツ」と語る。しかし、業界は2年前から契約者減に苦しんでおり、W杯も、減少ペースを和らげる程度に止まっている。
 ブラジリア大学経済学部のマリルソン・ダンタス教授は、「W杯による効果は最小限に留まるだろう。TVなど、少数の商品の売れ行きが期間限定的に伸びるだけ。16年までの景気後退後、17年にやっと回復してきたと思ったのに、今年の上半期はまた、景気が少し落ち込み傾向であることを考えれば、消費者の財布の紐がきつくなるのは自明」と語っている。