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《ブラジル》テメル大統領、政権2周年記念式典を開催=疑惑ふれず功績のみ強調=官僚、議員達に感謝の弁も

政権発足2周年記念式典で演説するテメル大統領(Marcos Correa/PR)
政権発足2周年記念式典で演説するテメル大統領(Marcos Correa/PR)

 2016年5月12日に、ジウマ前大統領の罷免を受けて大統領に就任したミシェル・テメル大統領(民主運動・MDB)は15日、政権発足2周年を祝う式典で自らの功績を主張したと、15、16日付現地紙・サイトが報じた。
 「16年5月―18年5月:ブラジルは戻ってきた」と銘打った式典で、テメル大統領は、ほぼ1時間に及ぶ演説を行い、不況からの脱出、94年レアルプラン採用以来最低の経済基本金利や、2年間で大幅に上昇した株価などを取り上げ、「短期間で多くの事を成し遂げた」と語った。
 同大統領は失業問題にも触れた。労働省発表のデータを引用し、今年1月からこれまでに通算で20万人分の雇用が回復したと語ったが、現在の失業率は13・1%だ。
 また、大統領は、政策立案に関わった官僚や与党議員たちにも感謝を捧げた。大統領は、上下両院の議員達は、「党派の利益を超えて、ブラジル国民全体のために尽力した」とも語った。
 テメル大統領は更に、「ブラジルを毎日支えている無数の労働者にも感謝したい。失業中の方々にも、『雇用を回復させるという約束を忘れてはいない』と伝えたい。ブラジルは、我々の希望と共に成長する。希望を失わないで」と呼びかけた。
 大統領は政権の好意的部分だけを主張したが、昨年自らに降りかかった2度の汚職告発や、今もサントス港湾関係疑惑がもたれている事、〃政権の最大課題〃と位置づけた社会保障制度改革の挫折には触れなかった。
 大統領はまた、「もうすぐ選挙になるが、対立を煽り、反対派より自分の方が優れているとやみくもに喧伝するのではなく、共によりよいブラジルにしていくために団結する機会にするべき」とし、「選挙後には、勝った側も負けた側も、共に国の抱える問題を優先して考える事を望む」として演説を締めくくった。

 批判トーン強めるフォーリャ紙

 ブラジルメディアは概ね、式典の様子を中立的に伝えたが、フォーリャ紙の批判的トーンの強さは際立っていた。
 同紙は、「大統領は、『議会との関係は良好』とするも、式典にはロドリゴ・マイア下院議長やエウニシオ・オリヴェイラ上院議長の姿はなく、昨年の政権1周年記念式典に比べると、議員の出席も少なかった」、「大統領は自らの功績を主張したが、議会では、エレトロブラスの民営化や企業の社会保障費徴収方法変更(レオネラソン)の承認が進んでいない。選挙を間近に控え、大統領に対する拒絶率が70%という政権の政策採決に出席する事を与党議員も躊躇している」と報じた。
 また、式典の副題は当初、「ブラジルは2年で20年分の回復を果たした」となるはずだったのに、句点を一つとれば「ブラジルは2年で20年分も後退した」とも読めるため、反対勢力に大いに揶揄されたことも同紙は挙げ、政権批判に終始した。

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