肥満や知的障害、筋力の低下などを起こすプラダー・ウィリー症候群(以下SPW)について周知を図るため、ブラジルSPW協会が6日、サンパウロ美術館(MASP)前で集会を開いた。
5月は国際的な交通事故予防月間で、ブラジルでも「マイオ・アマレロ(黄色の5月)」と呼びならわされているが、国内では「珍しい病気に注目する月」とする動きもある。本イベントはそれに順じて行われた。27日にはブラジリア、リオ、ベロ・オリゾンテ市で同様の運動が予定されている。
SPWはDNA組織の欠損により起こる遺伝子疾患で、ブラジルでは3万人に1人の発症率とされている。新生児期は筋力低下のために哺乳がうまくできず、多くは経管栄養で栄養摂取する。
幼児期には極度の過食症が見られ、肥満に陥る。そのため、糖尿病や睡眠時の無呼吸などによる死亡ケースが多く、平均寿命は20~40歳程度だ。また、一般よりも知能指数は低いが、パズルや反復作業を得意とする。
集まった協会関係者ら約100人は、SPWについて説明したチラシを配布し、協会サイトのQRコードと共に「Fome de Viver」と印刷されたTシャツを販売。その後、MASP周辺を行進、子供達の健康のためにズンバを踊るなどした。
参加者のアナパウラ・デ・ゼ・エスパニョルさんはSPW児のバルバラちゃん(14)の母親だ。今回の運動については、「症候群の周知、親患者や親同士が繋がるためにとても良い」と語った。車椅子生活だったバルバラちゃんは、昨年、同運動に参加したことを機に、自身の足で立つことを決心した。今回の運動では自らの足で行進に参加し、成長を見せたそうだ。
同イベント関係者の伊藤シモーネ桜さんは、「医者の間でも認知度が低い症候群。一般での認知度を上げることで、同症候群の児童に与えるための成長ホルモンが得やすくなるなど、治療環境を整えたい」と運動の目的を説明した。
詳しくは同協会サイト(www.spwbrasil.com.br)まで。
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