【既報関連】今月3日に実行された、闇為替ブローカーの一斉摘発作戦〃カンビオ・デスリーゴ〃(CD)作戦は、2人の闇ブローカー、ヴィニシウス・クラレット(通称ジュカ・バラ)、クラウジオ・バルボーザ(通称トニー)の報奨付供述に基づいて行われた。17日付現地紙は、2人は429人分の〃顧客リスト〃も提出済みで、連警が捜査に当たっていると報じた。
「429人の顧客」とは、エヴァーグリーン銀行(EVG、所在地は英連邦王国の一つで租税回避地のアンティグア・バーブーダ)の顧客だ。
CD作戦の最大の標的で、現在は逃亡中の闇ブローカー、ダリオ・メッセルは、EVGを2013年半ばまでコントロールしていた。
メッセルは、「ブローカーの中のブローカー」の悪名で知られ、国際警察組織インターポールからも国際指名手配されている。
EVGのリストからは、119のオフショア企業(租税回避地にあるダミー企業)や、145人分の口座が判明した。口座の名義人には企業家や闇ブローカー、スポーツ選手、政界関係者、公務員などが含まれているという。
CD作戦を連警と合同で進めている連邦検察庁(MPF)は、名簿に名前のあった人々の内、誰が汚職をしていたか、誰が脱税をしていたか、誰が不正に資産隠しを行っていたかについて調べを進めている。
CD作戦発動を許可した判事に宛てた検察からの報告書には、「多くの口座が、犯人の家族や第三者の名義で開かれている。EVGはもっぱら、顧客の資産を隠匿し、資金洗浄(マネーロンダリング)を行うことを目的として利用されていた」と記されている。
EVG口座の顧客リストには少なくとも10人の闇ブローカーの名前があり、送金時の保証人にはメッセルの家族の名前が使われていた。メッセルが2012年までEVGの共同経営者だったこともあり、「メッセルはEVGを使って資金洗浄(マネーロンダリング)を行っていた」との疑いを検察は強めている。
リオ州地裁のフェルジナルド・ナシメント判事の息子で弁護士のワギネル・マドゥルーガ・ド・ナシメント氏は、オフショア企業の共同経営者としてEVGの顧客リストに名前が載っていた。このオフショア企業の口座は、闇両替商のロベルト・レジンスキと繋がっている。ナシメント親子は倒産企業にかかわる不正関与も疑われているが、フェルジナルド判事は「噂に基づく質問には答えない」とし、息子のワギネル・マドゥルーガ氏も返答しなかった。
1996年アトランタ五輪女子バレーボール金メダリストのジャケリーニ・シウヴァ氏の名前も出てくるが、彼女は「EVGの口座がまだあるか覚えていない。現役時代に国外でプレーしていた時の報酬をそこに入れていたのかもしれない。確認する」と答えた。