「2018年度ミシュランガイド サンパウロ・リオ版」が7日に発表され、2つ星に3店、1つ星に16店の計19店が掲載された。特にサンパウロ市で選ばれた15店中、日本食レストランは6店(40%)を占めた。ただし、日本食は全て一つ星。リオ市を含めても、当地レストラン最高峰19店中、日本食が7店(37%)であり、いかに当地のレベル向上に貢献しているかが伺われる。その内の一つ、開店わずか1年半で星を獲得した日本食料理店RYO(良、Rua Pedroso Alvarenga, 665, Itaim Bibi)にミシュランの審査について聞いた。
2016年12月に開店し、本格的な会席料理を提供するRYO。その山下エジソン良一シェフ(36、二世)は、「登録されて嬉しい。世界のベストシェフの一人として認められた」と喜びをかみしめた。
山下さんはサンパウロ市パライゾ区の「新寿司」で7年間板長を務め、14年からは日本で2年ほど会席料理を学び、帰国後に自らの名前から一文字取り「RYO」を開店した。
同ガイドの審査員は昨年12月に来店し、会計後に身分を明かしたそうだ。審査員が料理を気に入った場合のみ、身分を明かすようだ。今年1月には2人目の審査員が来店、やはり会計時に身分を明かした。その翌日、店情報の掲載について具体的な話し合いが行なわれたという。
山下さんは「料理だけでなく、内装や接客も評価された理由では」と見る。「日本料理店として、内装は『和』を感じさせつつ、イタイン区なので現代的な雰囲気を意識した。落ち着いて何時間も食事を楽しめるように配慮している」とのこと。
よく見ると、店員もグラス拭きをしたり、テーブル上に置かれた物の配置を直したりと動き回っている。「なにもせず他の店員と雑談するのではなく、立っている時もプロ意識を持つように教えている」と説明する。
山下さんは今後、国内に支店を増やすことを検討中。「まだ考えている段階だけど、色んな場所を見ている。『RYO』の料理を多くの人に楽しんでほしい」と語った。
同店の営業時間は火~土曜日の正午から午後3時、午後6時から11時まで、要予約。問合せは同店(11・3881・8110)。同店サイト(http://ryogastronomia.com.br/index.html)では「Tour 360°」で店内を見られる。
RYOに加え、同ガイドに掲載された日本食店は以下の通り。
【サンパウロ市】★「Huto」(ホンダ・ファビオシェフ、Av. Jandira, 677, Indianópolis)
★「ジュン・サカモト」(Rua Lisboa, 55, Cerqueira César)
★「Kan Suke」(江頭ケイスケシェフ、Rua Manoel da Nóbrega, 76, Paraíso)
★「木下」(カネコ・サトシシェフ、Rua Jacques Félix, 405, Vila Nova Conceição)
★「コウスシ」(コショウジ・ジョルジシェフ、Rua Viradouro, 139, Itaim Bibi)
【リオ市】★ハラダ・カズオシェフのMee(Av. Atlântica, 1702, Copacabana)
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ミシュランガイドの最高点は三ツ星。ブラジル最高は二つ星を獲得した3店で、残念ながら、そこに日本食はなかった。次の目標は日本食で二つ星獲得か。ちなみに、シェフのカネコ・サトシさんが4月に加わった割烹料理店「木下」も一つ星で登録された。カネコさんはリオ市の日本食店「天海」でも本格的な日本料理を提供していそう。今週末、文協(Rua Sao Joaquim, 381)で行なわれる文化祭りに木下が出店するため、カネコさんの料理を味わうことができる。今週末は〃ミシュランの味〃を楽しみに、文化祭りに出かけてみてはいかが?