昨年はサンパウロ州選手権とブラジル全国選手権の2冠を達成し、今年もサンパウロ選手権の連覇を果たした、サンパウロ市に本拠を置く名門サッカーチーム、コリンチャンスの監督ファビオ・カリーリ(44)に、サウジアラビアのアル・ヒラルから電撃オファーが届き、その去就に注目が集っている。
アル・ヒラルはすでに同監督の代理人と事前交渉を済ませ、近日中に正式オファーを出すといわれている。
アル・ヒラルの提示した条件は2年契約の年俸1200万レアル(3億6千万円相当)で、現在カリーリがコリンチャンスから受け取っている年俸の3倍以上と推定される。同監督はこのオファーに前向きだといわれている。
2009年に、コリンチャンスを率いていたマノ・メネーゼス監督に助監督として誘われたカリーリは、メネーゼス監督がブラジル代表監督に就任した後も、コリンチャンスにチーム付助監督として残り、現ブラジル代表監督のチッチを始め、多くの監督の片腕として仕えた。
特に2010―13年、2015―16年半ばまでの2度に及ぶチッチ政権期には、チームのディフェンス組織の形成を任された。
助監督時代に数多くのタイトル獲得を経験したカリーリは、2017年シーズンから正式にコリンチャンスの監督に就任すると、「助監督としては有能でも、全ての責任を背負う正式な監督としての力量、胆力はどうか?」と疑問視する声を尻目に、就任初年度に2冠、2年目となった今年も早々にサンパウロ州選手権連覇を達成。「国内屈指の名将」とさえ呼ばれるようになっていた。
カリーリには昨年中ごろからすでに、ブラジル国内のライバルチームが誘いの声をかけているとの噂もあがっていたが、カリーリは当時、「トラック一杯のお金を積まれてもコリンチャンスから出て行かない。出て行くとしたらクビになるとき。ここで満足しているし、ここで自分の時代を築きたい」と答えていた。
渦中のカリーリは昨年の発言について問われると、「お金を一杯に積んだトラックが2台来た」と返し、「まだ、何も正式には決まっていない」と答えるに留まった。
コリンチャンスにとって、16年の〃チッチ・ロス〃から一気にチームを上昇させたカリーリを失う事は痛手だが、金銭的にアラブの金満クラブには太刀打ちできず、退団を容認する見込みだ。
なお、後任には、昨年初頭より、20歳以下チームの監督からトップチームのコーチに昇格しているオズマール・ロス(42)の名が取りざたされている。
ロス氏は2014年から17年までの4年連続で、コリンチャンスの20歳以下チームを、ブラジル国内の育成チームによる最高峰の大会コパ・サンパウロで決勝進出(優勝2回)に導いているが、トップチームの監督の経験には乏しく、「新人監督カリーリで大当たりしたようなことは2回も続かない」と揶揄する声も一部にはあがっている。 (規)
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