現在の公式失業者数は1370万人とされているが、17日にブラジル地理統計院(IBGE)が発表した全国家庭サンプル調査(Pnad)によると、本来可能な、あるいは望んでいる時間よりも短い時間しか働けない人や、就職難のために就職を諦めた人の数を含めた失業者数は2770万人になると、18日付現地各紙が報じた。
IBGEはこの現象を「労働力が十分に活用されていない状態」と位置づけている。この状態にある人々の割合は労働人口全体の24・7%で、2012年の統計開始以来最大となった。
「就職断念者」のケースはより混乱の度合いを深めている。第1四半期の「断念者」はブラジル全体で460万人もいた。14年第1四半期の「断念者」は160万人だったから、現在はほぼ3倍だ。
失業者は「求職活動を続けているのに仕事に就けていない人」だけをカウントするため、「断念者」は、失業者数にも、失業率にも反映されない。今年第1上半期の失業率は13・1%で、名目上は昨年同期の13・7%より減少した。
IBGEの労働、収益性部門調査コーディネーターのシマール・アゼレード氏は、「失業率は確かに減った。しかし、それは、就職断念者や少ししか働けない人が増えただけ。そうした人が増えているのに『雇用は改善』と言ってもそれは欺瞞だ。非正規雇用も増えている」と語る。
リオ州連邦大学経済研究所教授のジョアン・サボイア氏は、「不況は16年に終了し、17年後半や今年の初めから雇用も戻るはず、との期待は裏切られ、労働市場は未だ困難に直面していることをデータは物語っている」としている。
ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団(FGV)経済研究所のフェルナンド・バルボーザ・フィーリョ調査員は、公式の失業者数1370万人の内、22%にあたる300万人は、2年以上求職していることに注目すべきだと語る。2年以上求職中の失業者数は、昨年の第1四半期より4・8%増加した。
同調査員は「この数は多すぎる。2年以上の失業は復職にも支障をきたす」と懸念し、長すぎる失業期間により、労働者のスキルや経験が通用しなくなる危険性も出てくると指摘した。同調査員は、長期間の失業に苦しむ人の存在は、およそ2年に及んだ不況の後遺症だとしている。