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《ブラジル》判事1千人に6人に脅迫=家庭内暴力関連訴訟担当判事が危険=「判事の用心欠ける」とも

カルメン・ルシア最高裁長官(Jose Cruz/Agencia Brasil)

カルメン・ルシア最高裁長官(Jose Cruz/Agencia Brasil)

 ブラジル国家法務審議会(CNJ)のまとめによると、2017年は国内の判事の内、1千人に6人が何らかの形で脅迫を受けていた事がわかったと、20日付現地紙が報じた。
 一審担当判事の方が脅迫を受けている割合が高く、その比率は1千人に7人だった。二審以降を担当する判事が脅迫を受ける割合はより低く、1千人に2人だった。
 調査に回答した82の裁判所の内、「脅迫を受けた判事がいる」と答えた裁判所は30あった。調査結果を集計したところ、昨年の場合、脅迫を受けていた判事の数は110人に上った。
 調査によると、脅迫の97%は、各判事が下した司法判断や審理の仕方への不満が原因となっており、脅迫犯の65%は判事が知っている人物だという。標的となっているのは刑事裁判を担当する判事だけでなく、家裁や労裁の判事も狙われている。最も頻繁に脅迫されているのは、家庭内暴力問題を扱う判事だ。
 CNJの司法権保安部門長を務めるタチアニ・アルメイダ連警警部は、「判事は国民の人生を預かる職務だ。その判断によって、一方は利を得るが、もう一方は失う。財産や権利を争う場だから、敗訴した方からは必ず不満が出てくる。判事の安全には特別の注意が必要だ」と語った。
 自分の安全の問題を軽く考えずに、日ごろの振る舞いに用心するという習慣を広めることが肝要とアルメイダ警部は語り、刑事法廷の判事と比較すると、その他の係争を扱う判事は用心深さに欠けていると指摘する。
 CNJによると、昨年採用された判事の安全を守るための措置は、職場の警備強化(45%)、終日護衛(35%)、防弾車の使用(31%)、限定的護衛(29%)、防弾チョッキの使用(15%)で、判事の引越しも4%あった。(複数回答可)
 判事の安全確保にはカルメン・ルシア最高裁長官兼CNJ長官も心を砕いており、徒歩や車での移動時の諸注意を始め、法廷での所作、ネットでの言動における注意点などを周知する文書を配布している。
 ブラジル司法官協会(AMB)のジャイメ・デ・オリベイラ会長は、「CNJ発表の数値は気がかりだ。ブラジル司法界は危機に晒されている」とした上で、組織犯罪や判決に対する暴力的な反応が増えたことが、脅迫を受ける判事増加に繋がっているとの見解を表明した。