20日に決まったベネズエラ大統領選でのニコラス・マドゥーロ氏再選は、国内外で大きな波紋を呼び、米国、そしてブラジルを含む中南米諸国は具体的な制裁に動きはじめている。22日付現地紙が報じている。
米国は21日、米国内のベネズエラの株式を凍結する命令を下した。これにはベネズエラ最大の資金源である石油公社のPDVSAの株式も含まれる。
周辺諸国は、ベネズエラに対する監査強化やマドゥーロ氏と関係のある人物による各国の銀行の利用状況を明確化するなどの形で、この命令に協力することを約束した。
また、ベネズエラ問題に関し、ブラジルを含むラ米諸国14カ国からなる平和連合の「リマ・グループ」も同日、今回の選挙を無効と見なし、大使の召還を行う意向を発表した。さらに、汚職や資金洗浄、テロへの資金提供に関する捜査の徹底や、通商の凍結など、五つの手段を講じて、同国の経済活動をけん制することを発表した。
リマ・グループは米州機構にも訴えかけて制裁の輪を広げ、民主主義に関する条項違反を理由にベネズエラを孤立させるよう動く予定だ。
現状での動きはこのようなものだが、エスタード紙によると、米国はそれだけに止まらず、PDVSAの操業を機能不全に持って行こうとしているという。
ベネズエラの経済学者のアスドゥルバル・オリヴェロス氏は「現状までの制裁なら、まだ石油の売買を行うのは可能だ。だが、石油の売買まで止められてしまったら、輸入がさらに困難になり、国民生活ははさらに大変になってしまう」と警鐘を鳴らしている。
その一方、ベネズエラ国内の最大野党民主党統一会議(MUD)のオマール・バルボーザ議長は記者会見の席で「自由で透明性の強い、国民が本当に望む選挙を年内にやれるように戦う」と宣言した。
またMUDのコーディネーター、アンヘル・オロペザ氏は、マドゥーロ政権は既に政府に対する抗議活動を行った国民を121人殺害したとし、「もう、これ以上の抑圧には耐えられない」と憤りを表明している。
バルボーザ議長は、MUDはベネズエラのカトリック教会や学生連合、その他の民主主義団体らと共に民主主義のために戦って行くと宣言した。
中南米や米国がベネズエラに強い制裁を加えていく姿勢を強調しているのに対し、ロシアや中国、イランといった国々は、こうした姿勢は「内政干渉だ」と批判した上で、マドゥーロ大統領の再選を認めた。
これらの国々はいずれも、独裁体質の強い国々ばかりだ。