軍政時代に「反骨のジャーナリスト」として知られたアルベルト・ジネス氏(86)が22日、サンパウロ市アルベルト・アインシュタイン病院で亡くなった。風邪をこじらせて肺炎を起こしたという。23日付現地紙が報じている。
1932年リオ生まれのジネス氏は、20代を映画評論家として過ごした。57年からは雑誌などに記事を提供。62年には新聞「ジョルナル・ド・ブラジル(JB)」の編集長となった。
同紙は64年開始の軍事政権に対して厳しい論調で臨み、68年12月に、軍が裁判権を持つなどして独裁制を強めることとなった軍政令第5条(AI5)を議会が可決した際は、表紙の天気予報で「空は黒く、温度は窒息しそう。空気は吸えたものではなく、国は強風で一掃されている」と表現し、伝説化した。
同年には、大学での講演で軍政を批判して投獄も経験している。
73年には、チリの社会主義時代の大統領サルヴァドール・アジェンデ大統領の自殺を掲載してJB編集長を解任され、その号も発行禁止となったが、仕返しにその記事が検閲されたと書いた号を新聞売り場にばらまいて話題を呼んだ。
75年にフォーリャ紙に移籍。80年はパスキン紙に協力しはじめた。後にポルトガルに移住、アブリル出版同国支部長となる。同国ではエザメ誌も創刊した。94年に帰国。大学でのジャーナリズム教育やテレビ出演などでも知られた。