ブラジル日本文化福祉協会(呉屋春美会長)が19、20日の両日、サンパウロ市文協ビル内で『第21回文化祭り』を開催した。今年はブラジル日本青年会議所のメンバーが実行委員会に入り企画を一新し、松柏学園・大志万学院の川村真由美校長やYoutuberのデボラ・フッツさんの講演、アニメ主題歌などをカバーするバンド公演なども行われ、相当数の非日系人が詰めかけた。文協によると10年ぶりに約1万2200人が来場。イビラプエラ公園内の日本館で先週行なわれた文化祭り来場者数を加えると1万3400人に上る盛況振りを記録した。
19日には小講堂で川村校長のポ語講演『日本の教育方法』が行なわれ、日本・ブラジルの文化の違いを右脳・左脳の働きを交えて説明。日本の学校の特徴である掃除や給食、クラブ活動、先輩・後輩の上下関係などを、当地になじませる工夫をして取入れていると紹介した。
「教育においても両国どちらにも良い面がある。だから他国の文化や教育を持ち込む際は、地域の文化と混ぜ、結び合わせなければならない」と語った。
同学院の訪日使節団に参加した生徒が、日本で学んだ慣習をブラジルに持ち込んでいることに触れ、「教育を通して、日本文化は着実にブラジルに入ってきている」とした。
同学院では、普通のブラジル学校にはないクラブ活動のほか、運動会や保護者参加型の行事も行われる。「様々なイベントを通して日本の上下関係や食事への感謝といった文化が自然に身に付く」と述べた。
川村校長は「使節団を通して日本の生活体験をすることで、未来のブラジルを具体的にイメージできるようになるなどの前向きな変化に繋がる」と講演を締めくくった。
サンパウロ市主催のヴィラーダ・クルツラルと日程が重なったこともあり、忍術、剣道、押し絵や押し花絵などのワークショップ、アニメのバンド公演では4割以上を非日系人が占めた。
食のコーナーでは今回、藍染や木下など有名な日本食レストランも参加し、日本食を提供した。家族と来場したフジハラ・カルロス・ロベルトさん(二世、65)は藍染のチラシ寿司を楽しみ、「今日はこれを食べに来た。他にも折り紙のワークショップに参加したが、多くの日本文化が集まる良いイベントだと思う」と笑顔を見せた。
カンピーナス市から初参加したヨツモト・フローリアさん(二世、68)は地下1階の展示ホールで展示された生け花や陶芸作品を鑑賞した。ブラジル生け花協会のカレンダーも購入し、「私もこれから生け花を始めたい。日本文化に触れられる素晴らしいイベントだと思った」と語った。
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文協の文化祭りのバンド演奏では、「バンダ・アカツキ」「イチ・ハンノ」「センパイ・オールド・スクール」が披露された。集まった観衆は大講堂1階席の半数を埋める程度だったが、各々合唱や歓声、客席で立ち上がり踊るなど熱狂的な反応を見せていた。このようなアニメ主題歌を演奏するバンドは、演奏する側も聴く側も非日系が非常に多い。だが、演奏曲は日本のもの。他の日系イベントでも、アニメバンドの演奏を取り入れると新たな客層の開拓になるかも。