ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》トラック運転手の全国スト続行!=燃料値下げ、下院で減税承認でも=石油公社株下げ、時価総額1位転落

《ブラジル》トラック運転手の全国スト続行!=燃料値下げ、下院で減税承認でも=石油公社株下げ、時価総額1位転落

諸閣僚、国税庁長官、パレンテPB総裁らと対策を協議する手メル大統領(左から2番目・Marcos Corrêa/PR)

諸閣僚、国税庁長官、パレンテPB総裁らと対策を協議する手メル大統領(左から2番目・Marcos Corrêa/PR)

 【既報関連】21日に始まった、ディーゼル油価格値上げに反対する、全国のトラック運転手による抗議ストは、24日も全国で続いた。23日夜にはペトロブラス(PB)社が15日間限定でディーゼル油価格を凍結した上、10%割り引くと発表したが、トラック運転手側はスト続行を宣言。ストは24日に4日目に突入したと、23、24日付現地各紙、サイトが報じた。

 ストはトラック運転手がブラジル中の主要幹線道路に出て、道路にトラックを停めて、通行をせき止めるなどの方法で行われている。物流をせき止め、国を混乱させる事で自分たちの言い分に耳を傾けさせる戦略だ。
 ペドロ・パレンテPB社総裁は、ディーゼル油値下げ発表の場で、政府に介入された訳ではない事、値下げは期間限定である事、ストによる国内の混乱を少しでも収めるための措置である事を強調した。また、原油の国際相場と為替の変動に応じて価格を調整する方針を放棄したわけではなく、政府にはこの15日間で、トラック運転手側と解決策を見出してほしいと語った。
 PBは、この措置による損害は3億5千万レアルだが、ストが長引き、状況が悪化すれば損害は1日あたり9千万レアルになると概算している。
 PBの決定は、23日午後行われた、政府とトラック運転手代表者との会談でスト継続を回避できなかった後に発表された。政府側はこの会談で2~3日の猶予をと申し出たが、前日までに出した「ディーゼル油にかかる経済支配介入納付金(Cide)免除」以上の譲歩案を出さなかったため、トラック運転手側は納得せず、幹線道路封鎖のストは解除しない意向を示し、実際にストは継続された。
 トラック運転手側がCide免除だけでは不十分と突っぱねたため、下院は同日夜、ディーゼル油にかかる社会統合基金(PIS)と社会保険融資負担金(Cofins)を年内限定でゼロにすることを承認した。
 燃料価格の多くは税金で、その比率が減れば、燃料販売価格も下げられるという仕組みだ。
 税収が減った分の財政バランスを保つため、「28産業部門での企業向け社会保障費納入優遇措置(デゾネラソン)の撤廃」と同時に決まったPIS/Cofinゼロ措置は、35億レアルの税収減との認識で承認され、デゾネラソンの撤廃で、その分を埋め合わせられると考えた上でのものだったが、その後、国税庁の試算での税収減は4倍の140億レアルになる事が分かった。
 ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)は、「下院が方針を示した事が大事。上院でPIS/Cofinの下げ幅を調整してもらえたら、変更案を下院で通す」と語っている。
 24日朝は、各地域のトラック運転手協会会長らがブラジリアで全国総会を開いた。午後2時からは運転手組合の代表がエリゼウ・パジーリャ官房長官と会合を持ったが、24日夕方の時点では、トラック運転手側の方針も、パジーリャ官房長官との会合の内容も発表されていない。
 また、PBのパレンテ総裁が「15日間のディーゼル油10%値下げは政府の指示で決めたのではない」とどれほど主張しようと、市場はそれを信用せず、経営方針への政府介入と分析。それを嫌って24日の株価は一時14%も下がり、PB社はブラジル企業時価総額1位の座を飲料メーカーのAmbevに譲り渡した。