ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》スト継続で国内の混乱さらに悪化=食肉用の豚や鶏が大量死=医療機関では癌治療も危機に

《ブラジル》スト継続で国内の混乱さらに悪化=食肉用の豚や鶏が大量死=医療機関では癌治療も危機に

27日のサンパウロ州ロドアネルでのストの様子(Roberto Parizotti)

27日のサンパウロ州ロドアネルでのストの様子(Roberto Parizotti)

 21日からはじまったトラック業者の全国的なストは週末を越え、現在も続いている。その間、トラック輸送が行われていないことに伴う全国の被害状況は拡大している。26~28日付現地紙が報じている。
 ブラジル蛋白動物協会(ABPA)は27日、餌不足が続けば、今後5日以内に国内の豚2千万頭と鶏10億羽が死ぬ可能性があるとの声明を発表した。21日からのストで餌が届かなくなったせいで死んだ鶏は、既に6400万羽に上っており、損失は30億レともいわれている。
 これが悪化すると、国内の食肉生活にも大きな影響を及ぼしかねない。少なくともスト終了後しばらくは、解凍された肉を再び冷凍した商品が出回る可能性があると警告する人もいる。
 一方、28日、国内105の民間病院が、トラック輸送が滞っていることによる物資不足が続けば、この日以降の対応は保証できないとの緊急発表を行った。
 この声明によると、この状態がこのまま継続すれば、癌などで治療している患者にも影響が出てしまうという。声明では、化学療法や人工透析などに使う、絶対不可欠の医薬品はもちろん、清掃から治療に至る全てのサービス用の資材が不足していることを明らかにした。
 声明を出した病院の中には、サンパウロ市のシリオ・リバネス病院やアルベルト・アインシュタイン、ACカマルゴ癌センターといった大病院も含まれており、事態は深刻だ。
 また、交通関係だが、航空では28日、全国54の空港中、10空港で燃料切れが続いている。26、27日に連邦政府が軍隊を動員し、護衛付で燃料の輸送を行わせたため、燃料切れの空港数や決便数こそ減ったが、依然として混乱は続いている。
 また、全国各市でも、まだ燃料の配給が追いつかず、タンクが空となったガソリン・スタンドが多数を占める。
 また、食品類の配達も滞っているため、スーパーマーケットでも空の棚が全国的に目立ち始めている。食料やガソリンを求めて、学校や民家、スーパーでの略奪行為に及ぶ人たちも出はじめている。
 また、全国7州都と連邦直轄区の連邦大学の休校も、25日に発表された。小~高校までの学校や私立の大学でも、休校にしたり、車の燃料切れで子どもを送り迎えできないなどの理由での欠席を認めたりする学校などが出はじめている。
 こうした状況下、サンパウロ市でも26日、市を休日にするか否かの判断が注目されたが、ブルーノ・コーヴァス市長は「明日(27日)までは、必要最低限の市の機能は維持できる」と、休日の可能性を否定した。