21日からはじまり、全国にガソリン不足や食料不足をはじめ、混乱と騒動を巻き起こしている全国規模でのトラックストは、28日に、これまでストの中心だと思われていた左翼系の組合員の存在に加え、極右思想の参加者が政府への軍事介入を求め始めるなど、狂信化していたことが明るみになっている。29日も、2人の政党関係者がユーチューブを利用して大衆を扇動していた事実が報じられた。
この2人の政党関係者とは、政党「ポデモス」に在籍するゴイアス州のトラック運転手のヴァラシ・ランジム氏(通称ショラン、39)と、ミナス・ジェライス州のイトゥイウターバ市市長選挙にキリスト教社会党の推薦で出馬した経験のある、元弁護士のアンドレ・ジャノーネス氏(34)の2人だ。
この2人はユーチューブ上にストを熱心に支援した内容のトークを流して支持を集めており、テメル大統領をこきおろした動画は1400万回の再生、「(政府に味方をするテレビ局の)グローボ局を打倒せよ」という内容のものは440万回の再生を記録していた。
このスト期間中、マスコミは「嘘ばかり報道して、我々庶民の立場を報道しない」として敵視されている。それにより、トラックストで物資が運ばれないために、餌が届かず、食肉用の鶏が数千万羽、豚も大量に死んでいることや、医療物資の不足で癌の治療や人工透析さえままならなくなるなどの報道も、実際に写真つきで報道されるまで「嘘だ」などと批判される事態が起きていた。
今回のストは、トラック運転手の組合が石油公社ペトロブラスのディーゼル油値上げに反対し、主要国道をトラックで封鎖したのがはじまりだ。
当初は「汚職多発の政府が、燃料代を値上げすることで国民に尻拭いさせている」といった論調で国民から強い支持を受けていた。
だが、その一方、組合会長らが政府と終結の約束を交わしたにもかかわらず、ストが終わらず、異例の長期化を招いた前後から、不審点も目立ちはじめていた。本来、スト参加が禁止されている企業家が背後でトラック運転手を支援していたことや、愛国的な極右思想の社会団体に参加する運転手が他の運転手を脅迫してストからの離脱を認めなかったこと、封鎖した道路でトラック運転手たちがストに関係ない企業の車を強制的に止めることなど、不可解なことが続いていた。
ショロン氏、ジャノーネス氏の所属政党は共に保守系右派として知られている。2人は、携帯電話のメッセージ・サービスのワッツアップに「1日で113万2千件もメッセージをもらった」などと証言しているが、奇しくもこの時期は、トラック運転手らがよく使うワッツアップで「軍事介入」を求める会話や動画、写真などが多く見受けられた時期と重なる。2人の言動が直接、軍事介入に触れていたかどうかは報道では明らかにされていない。
また、ジャノーネス氏は、キリスト教社会党に移籍する前は、テメル大統領の後押しもあって大統領を罷免されたジウマ前大統領の労働者党(左派)に所属していた。今回、動画で確認された同氏の「非合法的な政府(実際には合法)」との言及は、労働者党が現在も行っているテメル政権への攻撃論調と共通している。(29日付フォーリャ紙電子版より)