【既報関連】21日に始まったトラック運転手のストが、28日までの8日間で各産業に与えた被害総額は推定340億レ(約9880億円)に達したと、28、29日付現地各紙・サイトが報じた。
ブラジル食肉輸出工業会(Abiec)は、牛肉部門だけで80億から100億レアルの損失が出たという。同会加盟の109カ所の牛の屠殺所中、107カ所は操業停止状態で、残る2カ所も稼働率は普段の半分だという。生鮮牛肉を積んだトラック3750台は発送途中で止まり、賞味期限が過ぎようとしている。
鶏肉、豚肉の被害額は30億レアルだ。もう既に6400万羽の鶏や雛が餌不足で死に、泣きながら鶏の死骸を埋める養鶏業者の様子は全国に放送された。今も10億羽の鶏や、2千万頭の豚が死の危険に晒されている。
ブラジル農牧連合(CNA)は28日に、生鮮食品や動物、食料運搬車を優先して先導して通行できるよう、政府への要請書を提出した。
フェルナンド・ピメンテルブラジル繊維工業会(Abit)会長は、「取り返しのつく損失とつかない損失がある」と語る。同会長によると、繊維業界は全体の90%が操業難に陥っており、損失額は純収入で17億レアル相当だという。
小売業界では、商業連盟(Fecomercio)が、ストが続けば、ブラジル全土の小売業者に1日あたり54億レアルの損失が出ると試算している。
燃料販売業者の団体(Plural)も、スト開始からこれまでに業界全体として80億レアルの収入が失われたとした。
建設産業協議所(Cbic)のジョゼ・マルチンス会長は、「建設業界でも多くの工事がストップし、29億レアルの損失が出た。セメントや砂などのコンクリート材料が届かないのが最大の問題だ」としている。
薬局業界は8日分の損失を16億レアルと計算している。同業界の組合会長は「国民が医薬品を入手する事が困難になる。そうなれば、(病状悪化などの思わしくない結果を招く」と語った。
牛乳業界は10億レアルの損失と試算したが、その中には3億リットルの牛乳が廃棄された分も含まれている。
自動車業界は25日からほとんどの工場が生産を停止しているが、損害額を明かしていない。25、28の両日に生産できなかった車は2万5千台と概算されるが、いくつかの企業はそれ以前から生産を止めていた。
各産業部門の減産や損失と共に発生するのが税収減で、税制企画院(IBPT)は38億6千万レアルの税収減を予測している。IBPT調査班のコーディネーター、ジルベルト・アマラウ氏は「連邦政府と州政府、市も税収減は想定外だ。予算、人件費、設備、人的投資への財源とするつもりだったはず」と語った。
実際にサンパウロ市役所は、ストの始まった21日の週だけで、税収が1億~1億5千万レアルほど落ち込んだとしている。