ミナス州ジャウナーバ市の元市長で、ブラスニッカ社創設者で「バナナ王」として知られている山田勇次さんのバナナ園では、ストによる損害は極めて深刻だ。山田氏によれば「腐らないものなら話は別だが、バナナは傷むもの。何十トン、何百トンという損害が出ている」と、ふだんは温和な人柄で知られる同氏だが、今回ばかりは珍しく憤慨した様子だった。
山田さんは最初にレジストロに入植した戦後の子供移民。ミナスに転住後、毎年300ヘクタールのバナナ園を開き、昨年現在で2千ヘクタールを所有。自家用飛行機に乗って農園管理する「バナナ王」と言われる成功者だ。
農園では、時期を迎えたバナナが毎日収穫できずに溜まっていく一方で、出荷は停止状態。トラック10台に積み込まれたままのバナナも、交通網の麻痺に巻き込まれ、必要な加工が施せずにいるという。
通常、バナナは緑色をした未熟な状態で収穫され、追熟加工により均一に成熟し、黄色い状態で市中に販売される。ところが収穫時期を逃したり、その必要な加工ができないと、その間に不均一に熟し、商品価値を失ってしまう。
同社は直販ルートを確立し、10カ所の卸販売所も経営している。ところが山田さんは、「このストで販売部も営業停止を迫られ、その間に、従業員の雇用を失っている。まだ計算できないが、ものすごい損害だ」と現状を嘆いた。