5月21日から続くトラック運転手たちのストは、「ディーゼル油の相次ぐ値上げに業を煮やしたトラック運転手たちが、ブラジル全土の高速道路や主要幹線道路にトラックを出し、ノロノロ運転や、一斉停車で交通を遮断し、物流もストップさせる事で、政府に圧力をかけ、燃料価格の引き下げを迫る」という図式で始まった。
政府との交渉も不調に終わり、ストが長期化すると、国内全域で、食料品、工業製品、医薬品、燃料そのものに至るまでの供給ラインが大混乱を起こした。
また、トラック労働者の不満が爆発したことで始まったはずのストも、途中で反政府組織が入り込んだことで、テメル大統領退陣や、軍の政治介入を求める勢力がその終結を阻んでいる。
そんな中、5月29日までの9日間での経済的な損失額は、わかっているものだけで、およそ500億レアル(1兆5000億円相当)に達したと報じられた。
養鶏、養豚部門は7千万羽の雛や2千万頭の豚がえさ不足で死亡するなどして、30億レアルの損失が出た。「ストが終わっても、生産能力が回復するまでに半年から1年はかかる」と専門家は語っている。3億リットルもの牛乳が廃棄された牛乳業界は、損失額が10億レアルだ。
牛肉業界は4万トンの牛肉輸出がストップしており、損失額は80~100億レアルと見積もられている。
工業界の場合、多くの部門では損失額の算出さえ行えていない。輸出が止まってしまった分だけで、38億レアルの損失になるという。
全国工業連合(CNI)によると、全国の加盟66万社が、基本物資の不足や出荷が不可能なために操業を停止している。靴業界の幹部は「損失額がどうなるのか、我々はとても恐れている」と語った。
商業界は、1日あたりの損失額が54億レアルで、医薬品業界の損失額は累計16億レアルだ。
化学製品業界は輸出が行えないことで25億ドル(95億レアル相当)の損失が出た。
燃料の供給が止まった事で、各地のガソリンスタンドではスト開始以降、110億レアルの売り上げが失われた。
スーパーマーケット業界は特に生鮮食品などの売り上げが落ち、24億レアルの損失となった。
自動車業界は損失額を発表していないが、国内40工場の多くは25日から操業を停止しており、ストがなければ生産されるはずだった車両、3万8千台分の生産がすでに失われた。同業界は11万3千人を雇用しているが、多くは臨時休暇に入り、仕事に戻る目処は立っていない。(30日付エスタード紙より)