ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》トラックスト10日目=徐々に解消、物流復旧へ=運転手を脅迫する勢力も=政府は政治利用の勢力と対決

《ブラジル》トラックスト10日目=徐々に解消、物流復旧へ=運転手を脅迫する勢力も=政府は政治利用の勢力と対決

幹線道路の通行を妨げるトラックの検分を行う国道警察(Tomaz Silva/Agência Brasil)

幹線道路の通行を妨げるトラックの検分を行う国道警察(Tomaz Silva/Agência Brasil)

 【既報関連】21日に始まったトラック運転手たちの全国ストは、9日目に入った29日から徐々に解除され始めたが、本来の目的とはかけ離れた、「軍政復古」や「テメル政権打倒」を唱える勢力が道路の封鎖を続け、逮捕者も出ていると、29、30日付現地各紙が報じた。

 防衛省管轄のブラジル陸海空三軍共同局(EMCFA)のアデミール・ソブリーニョ局長は29日、「連邦直轄区~ゴイアス間、ミナス州、セアラー州の3箇所の国道では道路の完全封鎖がまだ残っているが、どれもトラック運転手によるものではない」と発表した。
 これら3箇所の道路封鎖は、ストを政治利用する勢力による可能性が濃厚だ。これらの諸勢力は警察だけでなく、トラック運転手たちとの暴力的衝突も起こしている。衝突が一番大きかったのはマラニョン州バカベイラ市で、7人が逮捕されたが、政府は、その中にはトラック運転手は1人もいなかったとしている。
 サンパウロ州内陸部の幹線道路では30日朝、同道を走り抜けようとしたトラックが投石を受け、フロントガラスが大破し、助手が負傷する事件も発生。被害に遭ったトラックは、バウルー市の工場に食品を運ぶ途中だった。
 バウルー市の運送会社のオーナーは、自社所属のトラック12台が、同じ場所でまだストに残っている運転手達の妨害を受けたと語った。
 30日付エスタード紙には、携帯電話を使い、スト継続支援に止まらず、政府批判から軍政復古支持までを含んだ過激な文面を運転手たちに送り続けて扇動する男の様子も紹介された。
 ラウル・ジュングマン治安相は30日、国内各所に残る道路封鎖を解消するため、ストを止めて仕事に戻りたいのに、妨害されて戻れないトラック運転手が被害を告発する手段を整備する意向を表明した。同治安相は、運転手を妨害、脅迫するような行為を「政治的暴力」と位置づけている。

 国内の物流は、少しずつ戻り始める

 スト開始から10日目となった30日、18州と連邦直轄区所ではストの残党が残っているものの、道路封鎖は8州のみとなった。サンパウロ州、リオ州を含む南東部では、道路封鎖は解消された。
 燃料販売業者団体、Pluralは、北部、北東部、南東部ではタンクローリーの往来が6割まで回復したと発表した。
 また、30日からは国内各所の中央市場にも野菜などの食料品が届き始めたが、まだ普段の流通量には及ばず、品不足による高値が続いている。