【既報関連】5月21日に始まったトラック運転手によるストは、週明けと共に徐々に収束し始め、スト開始から11日目の5月31日には政府による事実上の終結宣言も出た。サンパウロ州で続いていたサントス港につながる道路の封鎖も6月1日午前0時には解除されたが、連邦政府が約束した「ディーゼル油1リットルあたり0・46レアルの値下げ」を実現させるための財源確保の道のりは険しいと、5月31日、6月1日付現地紙・サイトが報じた。
5月31日付現地紙は5月30日までに判明している損害総額を750億レアル(2兆2500円相当)と概算しているが、未算出の損害や、今後判明する損害を含めると被害額は大幅に拡大するとも報じている。
政府が最も頭を悩ましたのは、ディーゼル油値下げの財源確保だ。「1リットルあたり0・46レアルの値下げ」は、ディーゼル油販売時にかかっていた、経済支配介入納付金(Cide)、社会統合基金(PIS)/社会保険融資納付金(Cofins)を免除することで実現する。
その内の0・16レアル分(約40億レアル)の財源は税収増で確保する。22億7千万レ分は、輸出業者へのPIS/Cofins課税率を大幅に引き上げる事で埋め合わせ、8億3千万レアル分は、39産業部門の社会保障費納入優遇措置撤廃で埋め合わせる。
下院と上院が認めた同措置撤廃は28部門だったが、大統領が裁可する時点で、飲料部門、化学工業部門を含む11部門に対する優遇措置維持に拒否権を行使したため、39部門の優遇措置撤廃となった。
0・30レアル分の値下げのための財源(約95億レアル)は、補正予算(予備費)からの62億レアル供出の他、国内各公社への資本金注入用の予算カットで21億レアルを捻出。さらに、道路整備などの陸運関連プロジェクト(3・7億レアル)、SUS(1・3億レアル)大学教育(0・5億レアル)などの各予算の他に、100万レアル単位の薬物汚染対策費や、連邦道路警備費まで削減することで、やっとひねり出すという。
6月1日から7月末までのディーゼル油の精油所価格は、2・0316レアル/リットルと定められた。値引き分が店頭での販売価格に反映されるのは2日以降の見込みで、エリゼウ・パジーリャ官房長官は、販売業者に5月21日現在の価格と新価格を明示するよう要請。引き下げられた分を消費者価格に反映させない販売業者には厳しい態度で臨むとしている。だが、販売業者の団体Pluralは、消費者価格に反映させられるのは0・41レアルだとしている。
また、連邦政府はスト開始数日後から、企業家主導のスト(ロッカウテと呼ばれる違法行為)の可能性を指摘していた。スト終結後もロッカウテ関連捜査は54件続けられており、5月31日にはリオ・グランデ・ド・スル州で第1号の逮捕者が出ている。